暁 〜小説投稿サイト〜
歪んだ愛
第3章
―3―
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
て生徒に言うてたし…。実際、違った。其の数学の先生もゲイやったんよ…、素晴らしいカモフラージュ…
――嗚呼、意気投合しちゃってて、其れが出来てる雰囲気に見えてた、って訳か。で?其の熱烈なアウト告白の後、如何なったの?
――うちは状況判って無いし、職員室はしーんとしとるやろ?男前やった、あの数学教諭は何処迄も男前やった。ミユキ、て、静かに横から言うて、腕掴んだんよ。ほんで、御前、何考えてるんだ、て。詰まり…こんな感情的な即発的状況で、御前のセクシャルカミングアウトして立場悪くして、御前は後悔しないのか、て諭したんよな。ほんで、謝りなさい、彼に対して放った暴言を謝罪しなさい、貴女の対応は大人じゃない、て。然も其の先生も“タチバナ”て名前なんよ…。うちのタチバナは、木偏に矛て書いて…の橘で、数学の先生は立つ花、で立花先生やったんよ。
――え?じゃあ、どっちか判んないんじゃないの…?
――うちも、最初はほんまに立花先生やと思たよ。ミユキはミユキで我に返って、自分の失態に泣き出すし…。然し男前数学教諭ですよ、其処は。ミユキ、落ち着きなさい、済みません、良く言い聞かせますので、申し訳無い、て暴言吐かれたタコ入道に…あ此れ、其の言い寄ってた教諭のアダ名な、ハゲで怒ると顔が真っ赤になるから、に頭下げて保健室迄連れて来たんよ。うち如何して良いか判らんで、珈琲出したんやけど、先生、溜息吐くなり、御前何考えてんだ、頭悪いのか無鉄砲なのか、自分が何したか判ってんのか、全部崩しやがって、何の為に俺達が誤解を利用してたか、全てパァだよ、て殺気垂れ流してなぁ。で、気付いたんよ。先生、ゲイなん?て聞いたら、此のアホがさっき云った“タチバナ先生”は俺では無く貴女ですよ、て。

そして今に至ります、と橘はビールを飲み干した。
よくもまあ見事に、此処迄嘘が吐ける。作家にでなったら良いんじゃないのか、とさえ思う。
然し此れ、実際に橘の身の回りで起きた事だ。橘は残念乍ら“立花先生”の位置だったが、侭同じ台詞を巻き込んだ看護師に投げ付けた。巻き込まれた時は本気で此のレズビアン共を闇に葬ろうかと考えたが、人生何が起きるか判らない、今此処で使えたのだから良しとする。

――其の立花先生って如何なったの?
――相変わらず仮面夫婦してるよ、ねー?

橘の言葉に、和臣は訳も判らず頷いた。其れに“ゆりか”が舌を出し、嫌悪剥き出しの顔でグラスを傾けた。

――何其れ、最悪じゃん。
――でも無いんよ。ミユキ、可愛いんよ。漢字違うけど、タチバナミユキになったよ、て。身分証要らん場所やと、うちの橘の漢字使うて。ああん、もうかわええ!かわええ!!

グラスを傾ける和臣に橘は抱き着き、わしゃわしゃと頭を撫でた。
ず…ずれる…
不自然になっちゃないか、と髪を撫でる和臣に、嗚呼其れ可愛い、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ