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歪んだ愛
第3章
―2―
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――本当は夏休みの間だけの予定だったんです。でも所長さんが、大学卒業する迄居て欲しいって。

だから仕方無く、大学三年の夏休み時期から卒業する三月迄働いた。

――何で辞めたんだ?
――嫌いなんです、弁護士。
――え?…法学部、行ってたのに…?
――其処迄知ってるんですか、夏樹御喋りね、だから嫌いよ。
――丁度待て、御前、夏樹の事嫌いなのか?

静かにソーサーを置き、小さな膝小僧に両手を乗せるゆりかは、大きなフレンチ窓に向いた。

――逆に聞きます、木島さん。何で好きになるんですか?理由が無いです。

此の返答には加納も困った。
好きになる要素は判らないが、嫌う要素も無い。
端正な顔立ちで、清潔感もあり、背は其処迄高く無いが、性格に問題も見当たらない。
夏樹を見て不愉快を覚える人間は先ず居ないだろう。
なのに何故ゆりかは此処迄夏樹を嫌うのか。妹のまどかは一週間一緒に居ただけで惚れ込んだと云うのに。

――弁護士って本当最低。人の不幸で仕事してるんだから。

ゆりかの硬い声は、夏樹と云うより、弁護士と云う人種に向けられている様感じた。

――父の職業、知ってますよね?
――嗚呼、弁護士、だろう?副都知事の顧問弁護士だよな?
――ね、弁護士。本当、嫌い…

其の嫌いな弁護士の父親の御蔭でこんな高級住宅街に住めてるんじゃないのか、二十六にもなって嫁にも仕事にも行かない娘の面倒を見ているんじゃないのか、…心の中で止めた。
云っても無駄だろうと。

――又、其れは随分と勝手な言い分では御座いますね。

何の考えも無しに言葉を出すのが加納だ。案の定ゆりかの整う目は吊り上がり、然し、黙って居た。

――帰るな。なんかあれば、連絡しろ。

険悪な空気を払拭する様に和臣は笑って立ち上がった。ハッとしたゆりかも釣られて笑顔で立ち上がり、玄関で細長い箱を和臣に渡した。

――ん?
――ブーケの御礼…と云うより、おめでとう、木島さん。
――何が?
――誕生日…ですよね?乙女座…
――あ、嗚呼。嗚呼な、あはは、有難う。
――ネクタイです。あ、着けてあげます。
――え?

中途半端に靴を履いた状態の和臣に構う事無くゆりかは締められるタイを解き、あっさりと締め直した。困惑する和臣と笑いを堪える加納等気にもせずゆりかはニンマリ笑う。解いたタイを箱に仕舞うと手を振って和臣達を見送った。
和臣達がゆりかの所に居る間、生活安全課刑事から聞いた情報を基に、ゆりからしき人物が入ったとされる店を探した。
ビルはもう割れている、なので其のビルに店舗を構える店を全て調べ、女一人が気兼ねなく入れる店を見付けた。

――よお、ミレイ。報酬十万、頼まれないか?
――生憎ホモの言う事は聞かん。
――御
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