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歪んだ愛
第3章
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が出勤した、と云うもの。
周りが混乱しない様ゆりかに酷似させた為、皆、まどかをまどかと認識して居たが、余りにも瓜二つなので“ゆりか”とうっかり呼んでしまう、まどかもまどかで、然も当然の様に“ゆりか”と呼ばれても返事をした。
「一週間でゆりかが戻って来たんですけど、入れ替わった時期が判らなかったんですよ。偶然まどかが事務所に来て、動くゆりかに“ゆりか、大丈夫?”て云ったもんだから、全員驚いたんですよ。所長は知ってましたけど。で、まじまじと見て、判んないなぁ、と。で…」
「で?」
「まどかが事務所に来た理由ってのが、僕に会いたかったから、だったんです…。其れでやっと、二人の違いが判ったんです。僕、嫌われてると思ってたんだけどなぁ。」
「何で?」
「いや、僕が背後に立つと、化け物でも見る様な目で僕を見たので…。女の先生には愛想良くて…。で、其れを、まどかと付き合い始めた時、先生達に聞いたら、馬鹿だな夏樹、其れは照れ隠しだよ、なんて云われましたけど…、如何だか…、まどかと付き合い始めたらゆりかが似た様な目で僕を見始めてきつかったなぁ…、取って御免って云ったけど、絶対許さないからぁ!呪ってやるから!って…。あれ、僕が苦労してるのってゆりかの所為じゃないのかな、変な呪い掛けられたかも。」
見付けた…。
全てを混乱させる元凶を。
課長の大きな口元が真横に裂ける。
時一の大きな目が窄まる。
菅原の細長い指が口元を隠す。
和臣の釣り上がる目がぎらりと光ったのを、雪子は見逃さなかった。
五年前の、ストーカー被害。
そういう事かと、ブランデーの芳香に口元を歪めた。
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