第2章
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…、いや、認知症科かな…」
「俺は耄碌してない!」
「耄碌してねぇで其の方向音痴なら、御前、後五十年後、本物なった時如何なんだよ…、怖ぇわ…、其れで俺も耄碌してたら、二人で如何なるんだよ。御前は方向音痴で徘徊して、俺は女の尻見て徘徊してんのかよ。」
「拓也、其の前に殉職でもしよう。」
「嗚呼、其れが良い。俺が耄碌したらもう性犯罪で刑務所入るの判ってんだよ。」
「多分俺は、信号とかに向かって怒鳴ってるかもな。」
「変われ!早く変わらんか!とか普通に怒鳴ってそうだわ。」
「怖いなぁ、認知症。」
「なー。因みに御前、昨日の昼、何食べた?」
「………ええと……何食べたっけ…」
「マジかよ龍太、ヤベェな。認知症科行って来い。」
「何食べてたか教えて呉れ、不安になって来た。」
「何で俺が御前の食事内容迄知ってんだよ、確かに目の前で食べてたけどもさ。覚えてねぇよ。」
「駄目だな、拓也ー。」
「流石にさっき食べたヤツは覚えてるぜ。アレだ、ほら、アレ。ええと、アレだよ。」
「嗚呼、アレな。アレ。」
「アレなー、名前出ねぇなぁ。」
「……あ、ニョッキ。」
「あ、そそ、ニョッキだわ、ニョッキ。」
「ニョッキニョッキ。ニョッキを食べたな。俺はカルボナーラソースで、御前はバジルソースだった。」
「そうそうそう、思い出したわ。」
「ニョッキ食べました、課長。」
「良かったな。明後日辺りに今日の夕飯の事聞いてやるよ。」
「拓也、メモしとけ、ニョッキ。明後日聞かれる。」
「オキドーキー、ニョッキ。」
淡々と会話するだけに可笑しさが増す。一番笑うのは雪子で、何故笑ってるのかが、本気で此の二人は判って居ない。
此の二人の会話、今日日の芸人より面白いのだ。
真面目に受け答えする本郷、淡々と強弱無く話す井上、余計に面白い。
因みに本郷並みの方向音痴は病気であり、此れは空間処理能力の問題で、脳を入れ替えるしか無い。
「課長は何食べたんですか?」
「四川料理。」
「課長、本当好きね、中華系。」
「美味しいじゃないか。」
「油多くないですか?」
「イタリアンだって、オリーブオイルドバドバじゃないか。ペペロンチーノとか酷いわ。」
「もこみち。」
「うるせぇよ、龍太、黙ってろ。」
「済まん。」
雪子は黙って笑う。
偶に居るが、客同士で会話を楽しんで居るのに無理矢理入って来るマスター。話を振られ会話に入る、又はずっと会話し続けて居るなら判るが、いきなり会話に入って来られると、一瞬流れが止まる。和臣は其れが余り好きでは無い。
「雪子何食べた。」
「ピーナッツ食べたわ。」
「栗鼠か御前は。」
「ピーナッツ好きなの!」
「はん、流石“ナッツ”。」
「喧しぃわ。」
課長と雪子の会話に井上が一人笑った。
ナッツ、とは“頭のイカ
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