十二話
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いうわけだ。狙いは間違いなく近衛だろう」
「一応式神返しの結界をはりましたが、はたして役立つかどうか……」
旅館の玄関各所に札を張りに行っていた刹那が戻った。先のことで潜伏している可能性が大幅に上がったため張る意味がるのか些か疑問だが、念のためと言う奴だ。
「それでだが、今夜にもう一度仕掛けてくる可能性は高い。とにかく、後手に回るしかない現状私達にできるのは警戒を怠らない様にすることぐらいだ」
「分かりました」
「報酬分は働かないとね」
「では、近衛を頼む」
そう告げて自身は屋上へ上る。潜伏している可能性が高いとはいえ外に仲間がいないとは限らないのだ。魔眼を持つ真名にこの役目を任せてもよかったが、単純に見張るだけなら私の千里眼も劣らない。
何も見逃すまいと眼を見張らせていると、旅館の窓から勢いよく飛び出す巨大な猿が眼に入った。その腕に抱えているのは黒髪の少女、近衛木乃香だ!
[先生、お嬢様が!]
携帯へ刹那から連絡が入る。くそっ! 先のことが起きてから時間にして僅か三十分。速すぎる行動に意表を突かれた! 自分に憤るのは後だ。覚えたての影を利用した物質転移にて父の杖を取り出し、猿の後を追った。
ホテルを飛び出した後、すぐに真名と刹那に合流した。そして、術者が目指す先が駅であることをこの目はしっかりと捕えていた。
「くっ! 私がいながらお嬢様を!」
「いや、これは私の責任だ。まさか、次策をあれほど早く実行するとは」
「裏を読んだのか、はたまた何も考えていなかったのか……今までのことを考えるに判断に迷うね」
そうではない、そうではないんだ。敵が潜伏している可能性を自ら示唆しておきながら一時でも近衛の護衛を零にしてしまった私の甘さが招いた。時間にして約十年、策謀やらそういったものとは無縁であったのがここに来て影響を及ぼした。
「敵は駅に向かっている。急ぐぞ」
身体強化の魔力を高め、速度を上げる。もう、こんな無様な真似はしない。全力で、近衛を取り戻す!
「人払いの呪符!?」
「まずい! 電車が出るぞ!」
電車を追うことは出来るだろう。だが、体力の消耗を考えると、それは避けたい。滑り込む様にして電車に乗り込む。そして、敵は……
「邪魔な奴等やなぁ……お札さんお札さん、ウチを」
「させると思うか?」
――魔法の射手、光の1矢!
無詠唱魔法。私がイギリスで重点的に鍛えた技能だ。魔法の射手一本程度なら、ほぼノータイムで放てる。そして、私が宙に浮かぶ札如きを外すわけがない。
「な!?」
「寝ろ!」
札は不発。驚愕からくる隙を、私は見逃さない! 拳をみぞおちに一閃。確実に意識を断つために背後へと回り首筋へ手刀の追い討
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