第1章
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ら出て来て居た。
「家に居ろ、家に。」
「家ですよ?」
「じゃなくて…、もう良いや、行こう、加納。既に疲れた。」
加納の笑い飛ばす声に又疲れた。ゆりかだけがにこにこと小首傾げる。
「お母様は。」
「居ます、会いますか?」
「良い、疲れるだけだろう。」
母親は寝室に居るらしく、出来るだけ大人しくまどかの部屋がある二階に向かった。
5LDKの家、一階に応接室と書斎、二階にゆりか達の部屋と両親の寝室がある、庭は其れ程広くない。
まどかの部屋に入った和臣達は眺めた。
「八畳位か、此の部屋。」
「そうですね。良く判りませんけど。」
「いえ、十畳位ではないでしょうか。此れ、セミダブルですよね?」
ベッドを指した加納が聞く。
「ワタクシの家が、十二畳のワンルームなんですよ。セミダブルのベッドを置いて此の広さですから、十畳でしょう。」
「御前、悪趣味な車と株に金掛け過ぎて家が釣り合ってないぞ。」
「だってワタクシ独り身ですもん。」
「俺だって独り身だよ。」
「どれ位です?」
「4LDK。」
「お馬鹿なのですか?」
「違う、親が残したやつだよ。後二人で住んでるんだ。じゃなかったら貸すわ、人に。馬鹿か御前。」
「おやまあ。女性でも監禁なさってるんですか?」
「御前煩いな、良いからクローゼット開けろ、写真撮るから。」
如何でも良い部屋の広さを話して居た筈なのに脱線した。こんな事なら広さ等考えなければ良かった。
カメラとして持ち歩く携帯電話を取り出した和臣は開けられたクローゼットに辟易し、何枚か写真を撮った。
少し前迄はデジカメを持ち歩いて居たのだが、携帯電話の画質とデジカメの画質がそう変わらなくなって来た頃から、より持ち歩き易い電話の方で写真を撮り始めた。
「写真で見ると一層悍ましいな。」
部屋を何枚か撮り、序でにゆりかも撮った。
「え?」
「ほらな、見ろ。綺麗なものは写真でも綺麗なんだよ。おお、見てみろ、此のクローゼット。」
三人で画面を眺めた。
其の時、ゆりかが思い出した様に顔を上げた。
「まどかの電話が未だ繋がるんです。今朝、刑事さんに夏樹の事話すけど同席する?って夏樹に電話しようとしたら間違えてまどかを押したんです、そしたら、プルルルルって…」
「え?」
東条まどかが殺されたのは一週間前、使ってないとは云え、幾ら何でも充電が持ち過ぎている。其れにあの日は豪雨だった。水没もしていない。
「怖くなって慌てて消したんですけど。其れで夏樹に電話して、まどかの電話が繋がるって云ったら、夏樹が其の時送ったメッセージに既読が付いたんです。だから夏樹が、御前が殺したの?って送ったら、まどかから着信が着たって…」
和臣の全身が粟立った。電話を持つ手が冷え、此の犯人が、意図的に東条まどかを狙ったのが判った。
「其れ
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