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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶  〜 帝国歴487年(二) 〜
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問い掛けてもミュッケンベルガー元帥は目を伏せて沈黙したままだ。

「ミュッケンベルガー元帥?」
目を上げた。
「……組ませるのであればミューゼル大将が最善だと思う」
「……ミューゼル」
「外に強いミューゼル大将と内に強いヴァレンシュタイン少将。そしてヴァレンシュタインにミューゼルの抑えをさせる」
また難しい事を……。

「ミューゼル大将に務まるかな。先日の戦いで将兵の信頼を失ったのではないか? それにあの男を宇宙艦隊司令長官に就けるのは危険だと思うが」
「そうかな? むしろ好都合ではないかな、軍務尚書。弱い司令長官に簒奪は出来ん」
「なるほど」
そういう見方も有るか。

「ミューゼル大将が将兵の信望を得るにはかなりの時間を必要とするだろう。まして簒奪となれば狂信とも言える程の信望が必要だ。現状ではなかなか難しいだろうな」
「その上でヴァレンシュタイン少将に抑えをさせるか」
「うむ」
一理有る。無理をして失敗すればミューゼルは終わりだ。

「メルカッツ大将は?」
「メルカッツか……、弱いな。メルカッツではヴァレンシュタイン少将に押されてしまうと思う。二人の関係は悪くあるまいがメルカッツにはヴァレンシュタインを使いこなせないと思う。いささか歪な形になる、余り勧められん」
ミュッケンベルガー元帥が首を横に振った。

「卿はミューゼルとヴァレンシュタインを勧めるのだな?」
「そうだ」
「となるとヴァレンシュタインの地位は?」
「宇宙艦隊内にて司令長官に次ぐ地位が必要だ。各艦隊司令官から、司令長官から一目置かれる地位だな」
「なるほど、となると……、用意出来るポストは限られてくるな」
「ああ、限られてくる」
私の言葉にミュッケンベルガー元帥が大きく頷いた。








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