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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
第三話 誘拐事件
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の目的は何!?お金が目的なら」

「いやいや、そんな事でこんな大それた事はしませんよ」

すると犯人は私が言うのを遮るようにそう言った。

じゃあ、なんで……。

「私達の目的は「夜の一族」にあるんですよ」

「ッ!!??(ビクッ)」

夜の一族、と言ったところですずかは肩を震わせた。

「ど、どうしたの?すずか?」

すずかは犯人が言った「夜の一族」の話を聴いた瞬間青ざめた。

「簡単に説明しますと夜の一族とは吸血鬼のことなんですよ。人の何倍もの身体能力を持ち人の生き血を吸う」

「え?吸血鬼って……」

訳がわからなかった。何でそんな事を今言っているのかが。

「まあ、気づかないのも無理はないでしょう。簡単に言うなら君の隣にいる子は化け物、というわけですよ」

……ちょっと待て。目の前の男は何て言った?

「あんた、すずかの何を知ってんのよ!?」

「おや、それでは君は知っていたのですか?彼女が吸血鬼だという事を……」

「だから、そんなのはでたらめでしょ!?」

「でたらめではないから、こうやって人間の味方をしているんですよ。貴女だって被害者のような者ですからね」

「すずかも何か言いなさいよ!?……すずか?」

すずかに目を向けると……その顔は先ほどよりも青ざめたまま、俯いていた。

「嘘……よね?すずか!嘘って言って!」

「……」

すずかは俯いたままだった。

じゃあ、本当に……?

「まあ、今回の誘拐の目的は月村家当主の座を私達に譲っていただくのが目的だったんですが……人間と化け物は互いに相容れない」

「だというのに、今代の当主は人間なんぞと交じりおって……」

「まあ関係ない人間を捕まえたのはこちらの手違いでしたが交渉材料にはなってくれるでしょう?」

私の思考は男の言葉を聴いてはいなかった。

思考にあるのはただ一点。

なんで相談してくれなかったの?

ただ、それだけだった。

「ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまってごめんなさい……」

すずかが俯きながらも私に対して謝罪をしている。

と、その時、私はありえないようなビジョンを思い出していた。

すずかを抱きしめている私と、私に向かって泣きながらも謝り続けるすずか。

私たちって……過去にも出会ってるの?

そして、もう一つ気になったのが……私たちの周りが血で塗れていた事。そんな血だまりの中に佇む少年の姿。

今の状況と同じような状況が過去にあったっていうの?

でも、そんな疑問も長くは続かなかった。

「あのう。遊んでもいいですか?」

「いいですよ。しかし丁寧に扱ってくださいね。交渉材料になるんですから」


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