■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆冒険の始まり
第五話 第一回ボス攻略会議
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会場の段差を飛び降り、ディアベルの近くに降り立った。
「ワイはキバオウってもんや。ボスと戦う前に言わせてもらいたいことがある。こん中に、いままで死んでいった2000人に詫び入れなあかん奴がおるはずや!!」
キバオウは持論を展開しはじめた。ベータテスター出身者がいい狩場や儲かるクエストを独り占めしたせいでたくさんの初心者が死んだんだという。そうか、ベータテスターたちは『死ぬことができたSAO』でいい情報を沢山仕入れていたからあんなにも効率的なプレイができていたんだな、とマルバは初めて思った。恨みがましい視線をキリトに向けてみる。
でも。それはおかしな話であった。情報はこの冊子に……道具屋でプレイヤーが無料配布していたこの冊子にかなり書かれている。ベータテスターでなくソロプレイヤーのマルバは、攻撃力が低く経験値が高めのモンスターを狩ってレベリングするのにこの冊子をかなり利用していた。この冊子があったのだから、2000人は情報が手に入らなかったから死んだのではない。言い方が悪いが、ある意味自業自得だったのだ。
ちょうど同じ事をエギルも考えていたようだ。エギルの反論にキバオウはすっかり黙りこんでしまった。
ディアベルが会議を再開する。ボスの武器は斧とバックラー。HPがレッドゾーンに入ると武器を切り替えてくるらしい。これはかなり役に立ちそうな情報だ。また、ボスには取り巻きが何体かいるそうだ。僕たちは少人数のパーティーだからこの取り巻きを相手にすることになりそうだ。
「明日は、朝10時に出発する。では解散!」
翌朝10時。
みんなそろってフィールドを抜け、さらに迷宮区を昇り、ボスの部屋に。
「聞いてくれ、みんな。俺から言うことはたった一つだ。」
ディアベルはここで言葉をきり、皆を見渡した。
「勝とうぜ!!」
ディアベルの掛け声に、皆が頷く。
「行くぞ!」
ディアベルが扉を開け放つと、その向こうに巨大な部屋が現れた。部屋の端にあるのはどうやら玉座のようだ。そこに座る人物――いや、モンスターか――が立ち上がり、武器を持つ。
――IllFang the Kobold Load――
ボスの名前の下に四段のHPバーが縦列する。
同時に、小さな重鎧のモンスターが四体ポップ。Ruin Kobold Sentinel、と読める。
「攻撃、開始ッ!」
さあ、ボス戦の始まりだ……!
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