暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第二話
[1/8]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
◆2010‐05‐10T08:30:00  “Yatugiri High School 2-A Class”

「都市伝説?」
「はい、都市伝説です」

 俺の席までやってきた女の子が、『ケホケホ』と咳き込みながらそう話を切り出したので、俺は自分の席を譲って自分の机に軽く腰掛ける。
 そんな毎日恒例のことに対して申し訳なさそうにしながらも、しかしそのまま俺のイスに座ってくれる。いつも少し咳き込んでいる彼女からはそういった弱さを感じられるし、タレ目とふわっと膨らんだ髪からは彼女の持つ優しさを感じることができる。
 そんな様々な面から男子にとても人気な彼女は俺の親友、園田ティアだ。

「今日の話題はそれでいってみようかな、って思って」
「ほうほう」

 面白そうで興味のある話題だったので身を乗り出すと、ティアは恥ずかしそうにしながら軽く俺の顔を押すといういつもの流れを行う。ティアの話は何でも面白いので毎回毎回身を乗り出してしまうのだ。まあ、ティアの恥ずかしがる姿を見たい、と言うのもあるのだけれど。
 制服の上からは全然分からないし、その病的なイメージとも結びつかないのだけれど………ティアは出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるという大多数の男子にとっては理想的な体型なのだ。つい最近屋内プールに遊びに行った際に見たすばらしいビキニ姿は俺の脳内フォルダに保存されている。ついでに携帯のデータBOXとデジカメのSDカードにも保存されている。もちろん撮影許可は取ったぞ?
 その時に知ったのだが、どうもティアはその病的なイメージとは違ってプールとかそういったものは好きらしい。

 と、そんなティアとの朝のトークタイム。
 朝のSTが始まるまでのわずかな時間にティアが仕入れた面白話を聞いてから、俺の『県立八霧高校』ライフははじまるのである。

「ケホケホ………カミナ君は、何か知ってる?」
「俺の名前は神無月(かんなづき) 凪(なぎ)。風や波すら静まるような名前があるんだから、そっちで覚えてはくれまいか、ティア」
「ふふっ………カッコイイと思いますよ、カミナ君って名前」

 ティアみたいな可愛い子にそう言ってもらえるのなら、もういいか。
 と、このやり取りはもはやお約束になりつつあるんだけど。

「都市伝説って言うと、あれか?怪談の現代バージョンとか、この公園のボートにカップルが乗ると別れるとか、そんな感じの?」
「うん、そういうの。今日話すのは怪談の方なんだけど………さっきまであっちで三枝さんとお話していたんです」

 ティアがそちらを見ると、クラス委員の三枝委員長は目礼してくれた。ので、俺も『そう言えば最近コンタクトに代えたんだっけ』なんて考えつつ軽く会釈する。
 今は他の人に今日の宿題やら授業ノートやら
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ