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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第二話
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学園(すいりょくがくえん)だっけ?」
「うん、それ」
「俺さ、あの学校の名前を聞く度に『あの学校を開いた人はどれだけ緑色が好きだったんだろうなぁ』、って思うんだよなぁ………」
「ああ、確かに………」

 ティアがくすくすと笑ってくれているのを見ながら、俺はあの学園のことについて思い出す。
 私立翠緑学園。県立八霧高校のある八霧市の隣にある日影市(ひのかげし)にある、これでもか!と言う位レベルの高い進学校だ。我らが八霧市に比べてかなり発展したところで、八霧市では手に入らないものも手に入るので、すぐお隣と言う事もありこの学校の生徒もよく行く場所だ。姉さんも欲しい本があるとあっちまで行くことがある。
 そんな日影市で一番有名なのが私立翠緑学園で、学費も高ければレベルも高い。学年トップ十人くらいにはいる学力の持ち主であれば返さなくていい奨学金を学校からもらう事ができるようなので全員がそう、というわけではないのだが、基本的にはお金持ちで頭のいいお坊ちゃんにお嬢様。
 一つの学校分も頭のいいお坊ちゃん、お嬢様がいるのなら、日本もまだまだ大丈夫なのだろうか?

「それで、あそこの学校の生徒………確か女の子だったかな?が、被害にあったらしくて」
「被害に有っちゃったのか………と言うか、実体験なんだな………」

 都市伝説ものでよくある表現として『友達の友達が』と言う切り出し方がある。あれならなんだか少し離れた人の話に聞こえるのだけれど、学校名まで出されると………それも、すぐ隣の市の学校名を出されると、一気に身近なことに感じてしまう。あそこが有名なものである分さらに、だ。

『こういう話は適度に身近な方がいいのですよ?』と憧れの先輩から聞いたことはあったが、実際に聞くと本当なんだなぁ、と思う。

「なんでも、三枝さんのお友達が実際にそういう被害にあったみたいで」

 そう言われて反射的に三枝委員長の方を見ると、また目礼を返してくれた。
 ので、俺もまた会釈をしつつ………こっちの話も把握しているのだろうか、と考えつつ周りに先ほどよりも人が増えていることに気付いた。
 全員が何かしらのノートを写しているのを見つつ、今日は姉さんに教えてもらいながらやったし大丈夫だよな、と考えてティアとの話に戻る。いつもなら、この後で俺もあそこに加わるのだ。

「急にそんなことを言ったやつがいたって聞くと、ただの変質者なんじゃないか、って思うんだけど」
「その線もあるかもしれないけど・・・私たちからしてみると、都市伝説であった方が面白くない?」

 まあ、確かにそっちの方が面白みがある。三枝委員長の友達には悪いけど、このまま都市伝説であるという事で話を楽しませてもらおう。

「たぶん、この噂は予知夢のお話が元なんかじゃないかな?って思うの」

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