episode2
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「はぁ...。ちょっと軽くなった」
パイプの中に納められていた鎖が解放されたことにより、武器の重さに変化が生じる。
アンカーは鎖を持ち、頭上で円を描くように振り回す。小さな円から、しだいに大きな円を描いていく。狙いをよく定めて手を離すと、吹き飛んだ3人組を巻き付けながら1箇所に集めた。
鎖の先にある刃が、壁に突き刺さる。もし、その刃が湾曲していなかったら命はなかっただろう。
「...当たらなかったな。ま、もう片方はまだ残ってるし、これでトドメーー」
「俺の部下が世話んなったみてえだな」
「ーーあれ、出てきたの? 見てるだけじゃつまんなかった?」
先程までの形相は無く、姿を現したアーロンをキョトンとした表情で見る。小首を傾げる仕草には幼さを感じさせるものがあった。
「いつから気付いてた」
「んー...最初は、この3人組に囲まれた時かな。でも、似てる奴がいるなと思ったくらいで、確信が持てたのはこれを振り回してる時」
「...お前、俺の船に乗れ」
「ヤダ」
アンカーは壁に突き刺さった刃を引き抜き鎖をしならせ、縛り上げていた3人組を解放する。慣れた手付きで、垂れ下がった鎖を振り子のように揺らしながらパイプの中にしまい込んだ。
「帰る......って、こら! 掴むな!」
背中を向け、帰路に着いたアンカーは武器ごと捕まる。足をバタつかせて抵抗するが、やはり意味は無い。胸元にある指を叩いたり噛み付いたりしてみるものの、ダメージを受けている様子は無かった。アンカーの「離せっ!」という声が上がるが、アーロンは決して手を緩めはしなかった。
「ん? お前、この間よりでかくなってねえか?」
「そりゃ、成長期だからね...って違う! 離せっ!!」
「海賊は嫌いか」
「嫌いだ! アンタも海賊だろ。しかも船長だ。だからアンタも嫌いだ!!」
「理由は?」
アンカーは気の抜けた返事をする。抵抗する力が少し弱まった。アーロンが訪ねているのは“何故仲間にならないのか”ではなく、“何故海賊が嫌いなのか”である。
アンカーはその質問を生まれて初めて耳にした。
今までは、彼女の姿を見ただけで忌み嫌われ、話しかけて来る者もいなかった。いたとしても、それは彼女を傷付けたい者だけであってまともに話をする間柄ではない。
だからこそ、場違いではあると分かっていても、その質問が嬉しかった。
「おい。何とか言え...って、何で泣いてんだ」
「え? あ、なんでもない。......離してよ。ワタシも、話してあげるからさ」
アーロンは言われた通りにアンカーを下ろす。アンカーは逃げもせず、その場にあぐらをかいて座ると
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