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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第一話
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んな目に会わなければならないんだ。こんな状況を作り出したやつがいるのなら文句の一つでもいいながら一度だけ命令を聞かせてやりたい。

 そんな怒り交じりの後悔を抱いたところで、状況は変わってくれないようだ。むしろ、どんどん引き込まれていく。

「ハァ……ハァ……ハァ……ッ!?」

 さっきのから二十分くらいがたち、また同じ周期で来た。
 視線の先に有るのは、チェーン店のコンビニ。旅行先でもよく見かけるそのお店の姿にホッとして近づきそうになる体をどうにか抑え込もうとする。
 このままじゃダメだ。何の意味もなくなる。どうすればいい………どうすれば………あれだ!

 勝手にコンビニに歩き出す体をどうにかして抑え、進んだ結果足下に来ていたマンホールのふたを開けてそこに飛びこむ。
 その瞬間、コンビニの方に目を向けると………目を見張るような美しい少女が、口を動かしていた。
 その声は聞こえないが・・・何を言っているのかは、分かる。
『夢と違う事をするなよ』、と言っているのだ。

 それを認識した瞬間に胸ポケットに入れている黒い携帯電話が。
 『ヤシロ』と名乗る少女からもらったそれが制服越しにも分かるほどに熱を発していて、うっすらと赤く光っているのが分かる。
 この『Dフォン』は危険なことがあるとこうなるようで、つまりこれはかなりの危険があるという事でいいだろう。
 つまり、『死』が待っている、と。

「いやいやいやいやいや!」

 こんなことを考えていたら本当にそうなる。なりかねないというのは、もう充分に理解したはずだろう!

 これが読者側であったのなら、『あ、コイツ死んだな』とかさらっと考えるんだろうけど、残念なことに今は当事者となっている。絶対に死にたかない。これから先、ホラーもののキャラ達を心の底から応援することにしよう。彼らだって生きているし生きたいんだ。うん。

「『夢と違う事をするなよ』か………」

 言われたであろう言葉を呟くだけで、足は震えそうになるし、股間は何かふわふわしてくるし、心臓はドキドキするし、瞬きは多くなる。そして何より、今視界に有る物が全て夢で見たように思えてしまう。
 それなりに肝っ玉は据わってると自負していたのだが、こうして命の危機に立たされた今それがどれほどまでに愚かな考えだったのかを知った。

「ああもう、何でこんなことに!」

 肺に残っていた空気を怒りの言葉に代えて吐き出し、新たな空気を取り込む。
 と、そこで脳に酸素が回ったのかこの場面も夢に有ったことを思い出して・・・梯子を上って地上に戻る。

 今回は音が響いて直接言葉が聞こえてきたが、それから逃げるように再び走り出す。
 その先にすら夢で見た風景があるので、それに背を向けてもう一度走る。

 
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