暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王デュエルモンスターズ 〜風神竜の輝き〜
第3章 新たなる好敵手
第13話 忍び寄る魔の手
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子の手料理が食えるとは……くぅ〜!最高だぜぇっ!」

6人は丹精込めて作ったカレーを1口食べてから、思い思いの感想を口にする。
秋弥以外の2人の男子は、2口目以降をろくに喋らずに頬張って行った。

「す、すごい……もう半分なくなってる……」
「2人とも、そんなにがっつかなくても……」
「いや、美味すぎて止まらねーんだよ!」

その後、他の4人のおよそ3倍の速さでカレーを平らげた2人は、4人の食事風景を眺めながら、もう少し味わえばよかったと後悔するのだが、それはまた別の話である。

◇◆◇◆◇◆◇

「……咲峰君、何かあったの?」
「えっ?どうしてだ?」
「いや……何か、嬉しそうと言うか、楽しそうと言うか、そんな感じがしたから」
「……精霊、だっけか。それが見えるだけでなく、とうとう人の心情まで読めるようになったのか?」

ACSの生徒達が集うキャンプ場にて、燈輝と1人の女子生徒はそんな会話を交わしていた。
少女の名は『霧島(きりしま) 火凛(かりん)』。燈輝と同じACSの1年生で、同じデュエル部に所属している。
入部早々にレギュラーとなった燈輝と違い、火凛はまだレギュラー候補の身である。
しかし、彼女にはデュエルの腕の他に、類稀なる才能があった。
それは、『精霊』が見える事。
その特殊性から決して表に出て来る事はないが、デュエル・モンスターズのカードには、そのモンスターの魂が宿っていると主張する者が、ごく稀に存在する。
彼らはそのモンスターの魂を、『精霊』と呼称している。
霧島 火凛も、その内の1人だった。

「……あのね、咲峰君。君、自分が普段どれだけ笑わないか、知ってる?」
「そんなに仏頂面ばかりしてるか?」
「うん。いっつも怒ってるんじゃないかなって思うくらい仏頂面。その君がそんなに顔を綻ばせてたら、何かあったと思う方が自然じゃない?」
「……そんなに緩んでるか?」
「そりゃあもう。玩具を買ってもらう前の子供みたいに」

言われて、燈輝は何とかいつものように戻そうと表情を固める。

「そんな無理にしかめっ面にしなくても……それで、何があったの?」
「さっき、森の中で翔竜高校の生徒と出くわしたんだ」
「ふんふん、それで?」

翔竜高校との練習試合の件は、顧問からの通達で、既にデュエル部全員に知れ渡っている。

「そこで、面白い奴と知り合ってな。南雲 遊雅と言う奴なんだが……来週の練習試合で戦う事になりそうだ」
「へぇ〜、面白いって事は、咲峰君ひょっとして負けちゃったとか?」
「いや、完封勝ちだったよ」
「……どう言う事?」

今度は火凛の方が顔を(しか)める番だった。
完封勝ち出来る程度の相手を面白いと言う理由が、その時の火凛には想像もつかなかったからだ。

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