第3章 新たなる好敵手
第13話 忍び寄る魔の手
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のせいで衰えて行く。
「はぁっ、はぁっ、くそっ……火なんてつかねーぞ……」
少しの間、腕を休ませてから、再び棒を回転させる作業を再開する。
それから5分ほど時間をかけて、ようやく火種が完成した。
「あー……疲れた……あとはこいつを……」
完成した火種を、綿を包みこんだ麻の中に放り込む。
みるみる内に火種は延焼していき、遊雅は慌ててそれをかまどの中に投げ入れた。
「おっとと、あぶねあぶね」
「おし、後はこいつを扇げば火が強くなってくだろうな」
遊雅ともう1人の男子生徒は、受け取った調理器具類に紛れていた団扇でかまどを扇ぐ。
間もなく、小さかった炎は細かな枝や新聞紙に引火し、かなりの火力となった。
「おっし、こんなもんだろ。おーい、米研げてるかー?」
「当たり前よ。研ぐだけで10分もかかるはずないじゃない」
「悪い……火起こしが予想以上に重労働だったもんでな……」
「南雲君すごい息切れてるね……そんなに大変だったの?」
「2回目は絶対にやりたくないレベルの大変さだったよ……」
意気消沈する遊雅だったが、何とか米を炊き始める所までは完了した。
飯盒をかまどの火にかけて、遊雅達は他の班員の様子を見に行く。
「うぉっ、秋弥、お前皮剥くの上手いな」
「えっ、そうかな?」
秋弥が剥いた皮は、全て途中で切れる事無く一繋がりになっていた。
「お前、料理とかすんのか?」
「うん。お母さんに教わって、大抵の料理は作れるよ」
「へぇ〜、亜璃沙とどっちが上手いかな」
「それは亜璃沙じゃないかな。女の子だし」
「……って言うか俺、亜璃沙の料理なんて食べた事ないな。あいつそもそも料理なんてできんのか?」
「失礼ね。女を甘く見ないでくれる?」
秋弥と話す遊雅の背中を、怒気に満ちた幼馴染の声が貫いた。
「うわっ、亜璃沙。聞いてたのかよ」
「あいにく、カレーは得意料理の1つよ」
「そ、そうか……期待しとく」
「……よかったら、今度何か作ってあげるわ」
「えっ?あ、ああ、ありがとう。楽しみにしとくよ」
「くっ……お前いいよな……手料理作ってくれる女の子がいて……」
「そう言われてもなぁ……」
話が様々な方向に飛躍して行ったクッキングタイムは、すぐに終わりを迎える。
米も無事に炊き上がり、尋常じゃないやる気を見せる女性陣の奮闘によって、素晴らしい香りを漂わせるカレーが完成したのだった。
「おぉっ、うっめぇ!3人とも料理上手いんだな!」
「ふふんっ、これくらい当然よ!ねぇ、亜璃沙ちゃん!」
「そうね。もうあなた達の胃袋は掌握したわよ」
「あ、亜璃沙ちゃん……それはちょっと怖いよ……」
「でも本当に美味しいね。やっぱり女の子には敵わないなぁ」
「女
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