番外18話『空島へ』
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ら一味の注意が賞金首へと移る。
全員の興味が賞金首の話題に持っていかれたはずだったが、そこに一人だけ全く別の視線をもってティーチを見つめている男がいた。ティーチとは以前からの顔見知りで、先ほども二つ名なしに、直接名指しで呼ばれた彼、もちろんハントだ。
「そういえばさっきあいつらハントのことも知ってるみたいだったけど」
ナミやルフィたちがティーチと会ったのはモックタウンが初めてでその一度だけ。ハントがその彼と知り合いらしいということに驚いた表情を見せつつもハントに首を傾げる彼女だったが、残念ながらハントはそのナミの言葉を全く聞いていなかった。
マーシャル・D・ティーチ。
白ヒゲという最強とされる海賊のもとにいながらも、それを裏切り、サッチを殺した男。
ハントも何度かお世話になったことがあるサッチを殺した男。
今や海賊『黒ひげ』として海を進む男。
そう、エースが追いかけている男。
「……ティーチが……モックタウンに?」
「いたいっ!」
ハントの手に自然と力がこもり、その手をつないでいたナミが痛みから反射的に腕を引く。
「あ、ご、ごめん」
あわてて頭を下げるハントだが、やはりその意識はナミよりもティーチたちに向かっている。
「どうしたの、ハント」と尋ねるナミの声にも答えずに、ハントはそっとナミの手を離してルフィやゾロ、ハントの賞金首のことを話しているティーチへと向かって叫ぶ。
「なんでだ!? ティーチ!」
悲鳴のようにすら聞こえるハントの叫びに、ティーチはその短い問いだけでハントの質問の意図を理解したらしく、不敵な笑みを浮かべて言う。
「あいつが俺の意中の悪魔の実のを手にれやがったんだ……俺が元々白ヒゲの船にいたのはその実を手に入れるためだったからな……仕方なかった」
仲間を殺したというのに、決して悪びれないその態度はどこかふてぶてしく、そして海賊然たる態度でもあるが、だからこそそれがハントには気に入らない。
「仕方なかったって……っお前! サッチさんは――」
メリー号の縁に体をもたれかからせて叫ぶする。
が、残念ながら時間切れ。
メリー号が浮かぶ周辺の海面が徐々にせりあがり、そして。
「全員船体にしがみつくか! 船室へ!」
「海が吹き飛ぶぞ!」
ノックアップストリーム。
近くにいた黒ひげの船を瓦解させ、直上にあったメリー号を天高く、空へと突き上げた。
「……っ!」
様々な感情が入り乱れるだけで終わってしまった黒ひげとの一瞬の再会。ナミの手をやさしく握りながらも、どこか悔しげにハントが肩を震わせる。ほんの数分前まであった、空島への興奮の笑顔はなりを潜めて唇をかみしめているそのハントの姿は、しかし一瞬。
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