暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外18話『空島へ』
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という感情を込めて、強く手を握りしめる。

「あ……う、うん……そう、ね!」

 自分の手にあるハントの手をナミもまた強く握りしめて、そして恐怖の張り付いていたひきつった表情から力が抜ける。ナミもまたやはりハントに対して強い信頼があるのだろう。先ほどまでとは打って変わって、ナミらしい快活な笑顔をハントへと向ける。

「ちゃんと握ってなさいよ!」
「おう!」

 場違いな空気を流そうとする二人だったが、残念ながら今はそういうタイミングではない。

「ホラ、ウソップ。おめぇが無駄な抵抗してる間に――」
「間に? なんだ」
「――大渦に呑まれる」
「っ!」
「あ゛あ゛っ!」

 ゾロの言葉通りメリー号が大渦の底へと吸い寄せられ行くことに気付いたナミが一層にハントの手を強く握り、ウソップが悲壮な声を騒がしくまき散らす。
 渦が大きすぎてそこはもう水面すらないような渦の中心部に船が落ちようとして―― 

「あ?」

 ――大渦が消えた。

「何!? 消えた! なんでだ!!」
「何が起きた!?」

 慌てる一同だったが、航海士のナミがその疑問に答える。

「……違う、始まってるのよ……もう。渦は海底からかき消されるだけ……まさか――」

 この大渦に対してナミなりにわかったことがあるらしく、ぶつぶつと小さく言葉を落としていく。ナミのそれに一味の全員が耳を傾けていたのだが「待ぁてぇーーーー!」という大声に、全員の意識は必然的にそちらへと向かった。

「ん? ……あ!」
「おい、ゾロ」
「あ?」
「あれ」
「ゼハハハハ! 追いついたぞ、ハント! 麦わらのルフィ! 」

 実に特徴的な笑い声をもって彼らの前に現れたのはマーシャル・D・ティーチたち、黒ひげ一味。

「……あれは……モックタウンにいた」

 ナミが呟いた通り、ルフィとゾロとナミは一度モックタウンで彼らに会ったことがあるし、それ以外の留守番をしていたサンジたちは「誰だ?」と首を傾げている。
 会ったことがあろうがなかろうがどちらにせよ、ここで会う意味がわからない。

「麦わらのルフィ、おめぇの首にゃ1億の賞金首がかかってんだ! 海賊狩りのゾロには6千万ベリー、ハントも海坊主ハントとして6千万ベリーだ! てめぇらの首を貰いに来た! 観念しろや!」

 観念しろ、というティーチの言葉に、ルフィとゾロは表情を緩めて笑う。

「聞いたか、俺1億だ」
「6千万か、不満だぜ」

 賞金首が跳ね上がったことで明らかに喜んでいる二人に、ナミが「喜ぶな、そこ!」と注意をする。

 ノックアップストリームに乗るために色々と忙しいはずの麦わら一味だったのに、ティーチがいきなり現れ、さらには賞金首の話をもって騒ぎ立てたせいで麦わ
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