暁 〜小説投稿サイト〜
Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
罪と罰.4
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.4
賢太郎は、沢城の位置を見つけられていない。
沢城は妙な自信に駆り立てられていた。
今なら殺せる。そう思って、沢城は賢太郎に向けて引き金を引いた。
その時、微かに聞こえた足音に賢太郎は気が付き、間一髪避けられた。
それと同時に、手に持ったナイフを投げつけた。
沢城の脇腹をナイフが捉えた。
賢太郎が沢城に近づく。
「く、来るな!!それ以上近づいたら、テメェの眉間を撃ち抜いてやる!」
「やってみろよ。お前の腹に刺さったナイフを、もっと深くまで捩じ込んで殺す。」
賢太郎の目には、相打ちになってでも殺してやると言う覚悟があった。
本能の中の賢太郎の殺意は、賢太郎を今までに見たこともない程駆り立てた。
その時、廃工場の入口の方から声が聞こえた。
「警察だ!そこにいるのは誰だ!?何をしている!?」
その声が聞こえた時、沢城は持っていた銃を賢太郎の方に投げて叫んだ。
「た、助けてくれ!!殺される!!」
警官が駆け寄ってきた。
「銃声が聞こえたと通報がありました!ど、どうしたんですか!?」
警官がそう聞くと、沢城は答えた
「どうしたもこうしたもねぇよ!コイツが俺を殺そうと銃を撃ってきやがったんだ!は、早くこいつを!!とっととしねぇと殺されちまう!」
沢城は警官にそう言った。
すると、警官は腰のホルダーから拳銃を抜いて賢太郎に向けた。
「君、手を頭の後ろに回して膝を付きなさい。」
賢太郎は、言われた通りに抵抗せずに膝を付いた。
「ウェイターの仕事を覚えるより楽でしょう?」
そう警官が言って、賢太郎は驚き顔を上げた。
警官の拳銃が沢城の頭を撃ち抜いた。
「これで、今日の仕事は完了です。」
そう言うと、警官は顔を引張った。
顔には薄い特殊メイクのマスクを被っており、マスクの下には平泉の顔が現れた。
平泉が小次郎に任せた特別な仕事とは、このことであった。
「賢太郎くん、お疲れ様でした。」
賢太郎は、今までの怒りからの開放感と安堵感、そして何かが吹っ切れた感覚から
その場に倒れこんだ。
こうして、Bistroの定休日の長い長い夜の仕事は終わったのだった。
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