決闘の食堂
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ら、君をその水場にご招待したんだ」
渾身の力を込めたバーグだったが、倒れ込んだままの姿から動くことは出来なかった。いや、正確には、足場が水で滑って身動きすることが出来なかった、か。少しでも動こうとすれば、その瞬間に足が水に絡み取られ、その者の動きを奪い転び倒す。
「蛇口を捻った後の水場は、大変滑りやすくなっております。お気をつけください」
「…………!」
バーグもそのことは知っていた。故に相手の妨害を受けないよう、《カレー・ポット》で未知夫の動きを止め、トマトモンスター三体によるトマトスケボーでの移動により、アクションカードを手に入れていたのだから。
モンスターがいないバーグには、その水場からの脱出どころか、そこから動くことすら適わない。そして、手の届くところにアクションカードがある、などということがあるはずもなく。
「まさか、前のターンからこれを狙って……!」
未知夫は四体のRCMモンスターにより、バーグを水場の近くから動かないようにさせていた。バーグが水場のアクションカードを取りに行った瞬間に、未知夫はこの勝ち筋を想定していたのかもしれない。
かもしれない、などと仮定じゃなく分かることは――
「それじゃあ、僕のおもてなし無限ループを……じっくり受けてもらおうか!」
――もはやバーグに取れる手段は存在しない、ということか。
「《CM ヒヨコムギ》でダイレクトアタック!」
「ぐあぁぁぁっ!」
バーグLP1600→0
『決ぃまったぁ! 勝者、霧隠れ料理塾の茂古田未知夫選手ー!」
「ご来店ありがとうございました。またのお越しを」
未知夫は深々と一礼すると、アクションフィールドが解除されていく。《CM ヒヨコムギ》の攻撃を受け続けたバーグを助け起こすと、そう言いながら笑い、ニッコリと白い歯を見せる。
……こうして一回戦を突破した未知夫は、二回戦を不戦勝という納得いかない結果に終わりながらも、ベスト16となり本戦へと進出する。ペンデュラムカードの争奪戦――その裏に隠された、異世界との戦争の始まりへと。
今までの自分に足りなかった、『あと一工夫』を追い求めながら。
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