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【短編】遊戯王ARC-V −舞網市、激闘につき−
決闘の食堂
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今までモンスターを除外させるのみで、何のアクションも見せなかった《カレー・ポット》がコトコトと音をたてて煮えたぎっていく。

「除外ゾーンに《ポテトマン》、《タマネギマン》、《ニンジンマン》の三体が存在する時、《カレー・ポット》を墓地に送ることで、フィールドのモンスター全てを除外する!」

「なんだって!?」

『おっとバーグ選手、まだとんでもない隠し味を用意していたぁー!』

 《ポテトマン》と《タマネギマン》は、《ハングリーバーガー》を儀式召喚するためのコストとして、《高等儀式術》によって既に除外されていた。残るは《ニンジンマン》だけ……という状況で、《RCM ナイト・ナポリタン》の効果で破壊され、遂にその三種が除外ゾーンへと揃う。そして《カレー・ポット》の蓋が吹き飛ぶと、未知夫のフィールドにいたRCMたちが全て《カレー・ポット》に吸い込まれていくと、すぐさま《カレー・ポット》が爆発する。

 渦巻く爆炎の中――破壊された《カレー・ポット》から、囚われていた1人の『魔人』が目を覚ます。

「その後、デッキからこのモンスターを特殊召喚する! 現れろ我が切り札――《カレー魔人ルー》!」

 降臨するバーグのデッキの切り札、最上級モンスター《カレー魔人ルー》。しかし、その攻撃力はRCMの300どころか、僅かにもなく『0』。もちろんそれだけではなく、《カレー魔人ルー》は、中空に浮かんでいたスパイスを吸収していく。

「このカードの攻撃力は、墓地にあるスパイスの数×200ポイント。さらに、除外されている食材の数×300ポイント! 今までのデュエルは、全てこのカレー魔人ルーを召喚するための儀式同然!」

 今までバーグが扱ってきていたスパイスと、《カレー・ポット》の効果などで除外されてきたモンスターたち、それぞれから《カレー魔人ルー》の攻撃力は決定する。墓地にあるスパイスが12枚、除外されていたモンスターの数はバーグが9、未知夫が5。

 それら全てを、じっくりと煮込んだ結果として。

「攻撃力は6600!」

『文句なしに今大会での最大火力ー!』

 《神秘の中華鍋》で回復した未知夫のライフは6300――《カレー魔人ルー》の圧倒的な攻撃力の前では、その大量のライフゲインですら何の意味もなさないほどだった。

「さらにトッピング、《ワンダー・クローバー》を発動! 手札の植物族モンスター《オヤコーン》を墓地に送ることで、《カレー魔人ルー》は二回攻撃を可能とする!」

 もはやオーバーキルとなるほどの、《カレー魔人ルー》への二回攻撃の付与。ただし、これはただのパフォーマンスという意味だけではなく、未知夫の二枚のリバースカードと、未知夫が注意深く探しているアクションカードを警戒してのこと。

「……くっ!」

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