§37 古き魔王の狂信者
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が黎斗が恵那が生存できるように施した保険。
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!」
唯一誤算があるとすれば。この権能を使った状態で「緊急事態に恵那を強化し」「その記憶を消し」「権能が発動した際も自身の圧倒的な身体能力の違和感に気付かせない」「その記憶も消す」と、多重に重ね掛けしたことだ。複雑怪奇な精神操作は鈍っている黎斗には荷が重かった。度重なる戦闘で黎斗は自分が全盛期の力を取り戻していると錯覚していた。ディオニュソスのような直接戦闘に使用しにくい権能は使っていないのだから錆びついたままだと知らずに――
「ぐっ!?」
結果、無茶な精神操作に恵那が耐え切れず狂戦士化してしまう。大蛇に襲い掛かり?み千切る。
「……あは」
血塗れで哂う。嗤う。返り血に染まりながら笑みを浮かべるその姿は、正しく伝承通りの狂信者。
「……姐さんフラグ立てたなッ!? なんかヤバいぞ!!」
瞬時に飛び退く陸鷹化。一拍遅れて、大地に亀裂が走る。
「な、なんだこれ!?」
驚愕する鷹化を恵那は追い詰めていく。腕を振るだけで衝撃波が大地を舐める。もう片腕には太刀か光る。人間の限界を超越した動き。ただ速いだけでなく、人体でありえない動き。鷹化は後退することしか出来ない。アーシェラの尻尾の凪払いが背後から来たのを察して跳躍。見もしないで回避、ついでに尻尾に飛び乗って、巨竜の背後へ移動する。
「アァアアア!!」
「グアァアア!!」
振り上げた刃は鱗を易々貫通し、アーシェラは絶叫をあげてのたうち回る。本来の刃より明らかにリーチが長い。呪力を刀身として伸ばしているのだろうか。
「……どっちも絶叫してるから、声だけ聞いてると戦況がわかんないな」
驚きすぎて逆に冷静になった鷹化がふざけたコメントをするがツッコむ人間などこの場にはいない。
「狂化してるな、アレ。力に呑まれたか? ……だとしたら、誰だ?」
恵那の標的が神祖に逸れた彼は之幸いと傍観者に徹する。狂戦士化した少女は彼から見ても手強い。自我が侵蝕されているようだが、あの身体能力はそれを補って余りある。下手な神獣相手でも真っ向勝負出来そうな程。あれでは自身が万全でも厳しそうだ。
「……瞳の色、まさか」
葡萄酒色に染まる瞳は、彼女の保護者を思い出させる。彼もまた、時折この色の瞳をしていたような――
「……ここらが潮時か」
そこまで思ったところで、現実にふとたち返る。陸鷹化がここに居るのはただ義理のような物だ。本来、彼の師が噛んでいた計画だが彼女は突如放棄。これに焦った共犯者は別の魔王に計画を持ちかけた。しかし――
「この私が前言を覆すことなど本来
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