§37 古き魔王の狂信者
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時刻は再び前後する。
「あぁもう、しつこいなァ!!」
泥と埃で汚れた恵那は、息を整えながら悪態をつく。この程度の汚れで彼女の美貌は曇りはしないが、半日以上も戦っていれば疲労の色は隠しきれない。突如の襲撃。それも大規模な。入口近くで迎撃の体制に入った時には既に相当数の侵入を許している。これ以上の侵入を許すわけにはいかない。
「くぅ……」
突如現れた大剣に弾かれて後退を余儀なくされる。周囲を囲むは死せる従僕の群れ。大騎士でも絶望しか感じないような状況だが、諦めるわけにはいかない。自ら望んでここに来たのだから。それに―――
「前回の雪辱戦なんだから、恵那としては負けられないッ、よ!!」
気合と共に一閃。それで再び死せる従僕は無に帰る。前戦った時は敗北していたことを考えると確実に自分は強くなっている。それが実感できる。黎斗とのスパルタは無駄では無かった。だが、敵の物量はそれ以上に、圧倒的だった。
「はぁ、はぁ……まったく、どれだけいるのさ」
既に相当数倒した筈だが、敵の数は減る気配を全く見せない。無限に沸いてでてくるのではないか、という錯覚をさせる程に。僅かに休む間に倒した以上の敵が現れる。
「参ったなぁ。これじゃあ、幹彦さんに合流できないや」
全員相手にしていては力尽きることは明白だ。これを苦にせず易々殲滅するのは草薙護堂のような魔王、もしくは黎斗のような突然変異種ぐらいだろう。易々、という条件さえ付かなければ恵那の剣術の師、聖ラファエロとかいう聖騎士達、悪魔を従えたなんとか博士とかでもなんとかなるかもしれない。最後のは昔の物語に出てくるだけの存在だから信憑性は薄いのだけれど。
「……そう考えると意外と多いなぁ」
人外組と張り合うことの無意味さにも気づかず、どうやって殲滅しようか思考を巡らせる。斃すだけなら神懸りを視野に入れるのだが、宮が襲撃されたなら最優先事項は職員の撤退援護だ。この宮には非戦闘員も多い。というか、大半は戦えない。恵那を含めて戦力は二割にも満たないのではないだろうか。
「流石に恵那以外はこの相手はキツいよねぇ」
まして大騎士級の死せる従僕ともなれば相手取れるものは恵那以外にはおそらくいない。この状況下で神懸かりを発動させてしまうと時間切れで動けなくなったときが怖い、というのも積極的に神懸かりを使わない理由の一つだ。
「あっぶな……!」
騎士達が突き出してくる槍衾を寸前で回避、槍同士の合間に身体を捩じ込み己が剣で隙間を強引に抉じ開ける。体勢を崩した集団の中へ突入、円を描くように全方位に刃を走らせ、隊伍を一つ、崩壊させた。
「じゃっっ、まぁ!!」
境内を駆け抜けつつ立ちふさがる巨体の鎧騎士に唐
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