暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
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、勝算が微塵も無いとなると諦める利口さも持ち合わせている。メントレの手伝いを引き受ける前に、俺とアイは一度手痛い敗北を受けているので(とは言っても護衛塔に入る前にアイが離脱しただけなのだが)ここは確かな勝算が欲しい。というわけでここは一度、確かな勝算に話しかけてみよう。

「ヒースクリフ、君が受けるなら俺も行こうと思う」
「ほう。と、言うと?」
「正直このクエスト、普通の攻略組が一人でもいると実力的に無理だろうと思う。だからこそここはチームプレイよりもスタンドプレー。攻略組の中でも実力の高いメンバーを揃えて挑めば可能性があると思う」
「ふむ、そのメンバーは?」
「実力者の中でもアドリブが利いて協調性のあるプレイヤーがいい。これから揃える」

 そこまで言うとヒースクリフは一度だけ(うなず)き、力の込めた声で返した。

「いいだろう。協力させて貰おう。そこで私も一人推薦したい。私のギルドのサブリーダーで、恐らくは知っているだろうが、アスナというプレイヤーだ」
「知っているとも。申し分ない戦力だ」
「そうね、とするとあと二人かしら?」
「あっその件ですがアタシもパーティーに入ります」
「「え?」」

 出し抜けに素っ頓狂な二つの声が上がった。無論、俺とアイである。僅かに早く意味を呑み込んだ俺が尋ねる。

「メントレ、パーティーに参加するの?」
「シィー!」

 この場合、シィーとはイエスの意味だろう。となるとこれは護衛ミッションだろうか? そうなると難易度が恐ろしく跳ね上がる。訝しげな表情の俺に気づいたのか、メントレが抗議の声を上げた。

「アタシも闘えますよ?」
「え〜、どれくらい?」
「レベル52」
「うおッ! スゲェ!」

 今の俺とアイのレベルは46だ。この層ではこれ以上のレベル上げは困難なので、そこから更に6レベル上となると俺達では一年かかってもこの層では決して到達できないだろう。これは推測というよりも経験測。より堅固な確信だった。

「更に言えばこの杖はプラス50ですッ!」
「ひええぇぇ!」

 俺の武器のプラス値は21。これでも現段階では高い方の筈なのだが、メントレの武器はその倍以上の性能を誇るというのか。

「しかもこのプラス値はすべて魔法振りですッ!」
「おおッ……おぉ?」

 武器強化の強化パラメーターの種類は、≪鋭さ≫≪速さ≫≪正確さ≫≪重さ≫≪丈夫さ≫の五つだった筈だ。魔法なんて項目は確かに存在しない。更に言えば、極振りという点も怪しい。色々試したのだが、強化パラメーターは二〜三個に絞るのが一番オーソドックスで強力なのだ。(ちな)みに俺の愛しきジャマダハルの場合は、速さに5、正確さに8、丈夫さに8を振っている。

 それでも武器パラメーター一点極振りという
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