暁 〜小説投稿サイト〜
ラグナロク 蒼き瞳のESP(超能力)
プロローグ
[2/3]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
った。

別荘 日本時間 午前1時24分

ウクライナ政府と交渉を初めてから2時間、あまりに時間がかかっているためか、仲間の1人が少し荒らげた声で言ってきた。

「ギルギスさん!政府の連中からの返事はまだなのか!?」

ギルギスと呼ばれたその男は、少しも冷静さを失わずに口を開いた。

「そう焦るな。こいつは政府にとって重要な人間だ。必ず要求に乗ってくるさ」

口にガムテープを巻かれ、恐怖に溺れている男にナイフを向けながらそう言った。その男の頬には、脂汗が流れている。

「20億なんて大金だ。輸送に時間がかかってんのさ」

「ふーん。ま、だったらしかたねーか」

リビングのソファーに座りながら笑っていると、1人の仲間が顔色を変えてやってきた。

「ボス!チーム2とチーム3それからチーム5の奴等が見当たねーんだ!」

それまで笑っていたギルギスの表情が一変した。

「なんだと!?」

おろおろと落ち着きを取り戻せない男は、言っている言葉にも焦りが見てとれる。

「通信にも答えねーし、どうなってるのかわかんねーよ」

「そんな。……まさか逃げたんじゃ無いだろうな」

睨みを聞かせながらギルギスは言った。

「そりゃねーだろ。地雷とかの位置は俺とボスしか知らねーんだ。迂闊に外出りゃぶっ飛んでるだろ」

苛立ちが押さえられない男は、机を強く叩き言った。

「けどよ!他になにか考えられるのかよ!」

「そ、そんなこと俺が知る分けねーだろうが!」

…なにがなんだか分からなくなった仲間たちは、とうとう言い争いを始めてしまった。

そんな無様な状況をみて

「おいお前ら!いい加減に……」

ギルギスが、止めに入ろうとした、そのとき……

「下らないわね」

…どこかからか、透き通った美しい声が聞こえてきた。

「な、なんだ!どこだ!」

臨戦態勢をとる男達。古びた銃を手に、視線を右住左住する。

「……あなたたちは道を踏み外した。自らの私利私欲のために、罪の無い人間を拘束し、恐怖に陥れた」

「ふ、ふざけるな!姿を見せろ!」

慌てながら部屋のあちこちに銃を向けている男達。透き通った声は語りを続ける。

「これは、あなたたちが行ったことに対する対価。恨むなら、自分を恨むことね」

その台詞を放った直後、天井が爆音とともに吹き飛んだ。

「うわ!なんだ!」

「皆伏せろ!敵の奇襲だ!」

仲間の1人がそう叫ぶのとほぼ同時に、天井に空いた大穴から、右手にハンドガンをもち、黒い戦闘服に身を包んだ銀髪の少女が飛び降りてきた。その少女は、空中で3発、地面に着地してから4発の銃声を響かせ、その空間にしばしの静けさをもたらした。
気が付けば、
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ