第4部 誓約の水精霊
第5章 水の精霊
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の精霊の様子に、ギーシュとモンモランシーはポカンとした。
「お主、まさか…我と同じ精霊か?」
水の精霊の言葉に、モンモランシーとギーシュはウルキオラの方を向いた。
「ど、どういうことだね!ウルキオラ!」
「あなた…精霊なの?」
しかし、ウルキオラは二人の質問など耳には入っていなかった。
ただただ、水の精霊を見つめている。
そして、胸のファスナーを少し、下した。
首下に、黒い穴が見える。
「俺は精霊ではない。虚だ」
モンモランシーとギーシュは、ウルキオラの穴を見て、それぞれの感情を露わにした。
「な、なんだね!その穴は!は、早く治療しなければ!!しし、死んでしまうぞ!」
「なんでそんなところに穴が開いていて生きてるのよ!」
ギーシュはあたふたして、地団太を踏んでいる。
モンモランシーは、一歩後じ去った。
「虚?聞いたことのない名だ」
「だろうな。俺はこの世界の住人ではない。まあ、人ならざる者としてはお前と同類だ」
水の精霊は、少し考えた後、言った。
「よかろう。我の体を分けてやろう。人ならざる者よ」
「そうか」
ウルキオラは服のファスナーを上げた。
「しかし、条件がある。人ならざる者よ」
「なんだ?」
「我に仇名す人間を、退治して見せよ」
一行は顔を見合わせた。
「退治…だと?」
「さよう。我は今、水を増やすことで精一杯で、襲撃者の対処にまで手が回らぬ。その者どもを退治してくれれば、望み通り我の一部を進呈しよう」
「いいだろう」
こうしてウルキオラは、なぜか水の精霊を襲う連中をやっつけることになってしまった。
水の精霊が住む場所は、遥か湖の底の深く。
襲撃者は夜になると、風の魔法で空気の玉を作って、水の中に入り、湖底にいる水の精霊を襲うという。
ウルキオラたち一行は、水の精霊が示したガリア側の岸辺の木陰に隠れ、じっと襲撃者の一行が来るのを待ち受けた。
ギーシュは戦い前の景気づけなのか、ウルキオラの隣で持ってきたワインをあおっている。
そのうちに歌いだしそうなぐらいテンションがあがってきたので、ウルキオラに小突かれた。
ルイズと言えば、ウルキオラがモンモランシーとばかり話しているので、相当ご機嫌斜めだった。
私よりモンモランシーがいいのね、好きなのね、いいわよ勝手にすれば、でも嫌いにならないでね、うわーん、とかわあわあ泣いたり怒ったり、喚いたりしたので、疲れてしまったのか、今は毛布に包まり、くーくー隣で寝息を立てている。
まるで子供のようだ。
薬のせいなのだろうが、ひどく恋に落ちると、誰でもそんな風になってしまうものなのかもしれない
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