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Bistro sin〜秘密の食堂へいらっしゃいませ〜
非情な常連.1

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 その店は、街の外れに隠れ家のようにひっそりと佇んでいる。
こんなところに?と思うような場所だ。
そんな店に足を運ぶのは、目敏い通り掛けか、風の噂で聞いた怖いもの見たさか、或いは常連客。
この日も一人の常連客が、店に足を運んでいた。

 季節も紅葉の秋から、白銀の冬へと移り変わろうとしている。
季節の変わり目の寒さが身に沁みるこの日、太田はビーフシチューを作ろうとしていた。
とある常連の為に温かいビーフシチューを。
開店前から仕込みを始めて、肉をや野菜を漬け込むために赤ワインを使おうとしていた。

ちょうど賢太郎がワインを運ぼうとしていたので
「賢太郎くーん、赤ワインを持ってきてくれないかい?」と賢太郎に声をかけた。
賢太郎は「はーい!」と答えた。
ところが、その瞬間、賢太郎の顔面は蒼白になった。

『ガッシャーン!!』

やってしまった。
賢太郎は三段積みになっていたワイン瓶の入った籠を、倒してしまったのだ。
大きな音に、従業員が駆けつけた。
「あらら〜、やっちゃったね〜賢太郎くん。」
小次郎が笑いながら言った。平泉がやってきて、状況を把握して言った。
「おやおや、怪我はありませんか?‥起きてしまったことは仕方ありません。今日は赤ワインと、それを使うメニューは出さないでおきましょう。」
平泉がそう言って皆が頷く中、太田が言った。
「で、でも!平泉さん!今日はあの方がいらっしゃいますよ!?その為に用意するビーフシチューはどうするんです?」
太田が慌てた様子で言ったが、平泉は冷静そのもので言った。
「私にいい考えがありますよ。」
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