八十二 闇からの誘い
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口をもごもごさせるナルをよそに、キバは腰掛けていたブランコから飛び降りる。ブランコがギシギシ音を立てた。
「つーか、そいつが悪い道へ行こうとするのを止めて、正しい道へ向かわすのが『友達』なんじゃねぇーの!?」
「……ッ、」
「おい、キバ!勝手なこと言うな!!」
息を呑んだナルに代わり、シカマルが言い返す。キバと同じく、急に立ち上がったシカマルの背後で、ブランコが反動でガシャンッと跳ねた。
「べつにそれが本当に正しいかどうかは判断出来ねぇだろ、メンドくせぇ」
「いーや!大蛇丸が悪なのは決まり切った事だろ!あの『木ノ葉崩し』の犯人なんだから」
「だから―――」
二人の間で、ナルはおろおろと視線を彷徨わせた。己が腰掛けるブランコを挟んで、シカマルとキバが言い争っている。
自分が相談した故に喧嘩する彼らを見ていられず、ナルはわざと大きく声を張り上げた。ぴょんっとブランコから立ち上がると、口論を遮るようにお礼を述べる。
「なんか元気でたってばよ!ありがとな、二人とも!!」
そしてキバと顔を見合わせると、「そーだよな!正しい道に向かわすのが『友達』ってもんだよな!!」とナルはにかっと笑みを浮かべた。
「オレってば、大蛇丸からアマルを連れ戻せるようにもっと強くなるってば!!」
その為にはもっと修行しねぇと、と意気込んで、ナルは小走りに駆け出した。最後にもう一度、シカマルとキバに謝礼してから、公園を後にする。
怒涛の勢いで走り去ったナルの後ろ姿を二人は唖然と見送っていた。暫くしてハッと我に返ると、気まずげに顔を見合わせる。
「……メンドくせーけど、自分の言葉に責任持てよな」
「どういう意味だよ」
わかってるだろ、というシカマルの視線に、キバは鼻の頭を掻いた。ナルが去った方向に眼を向けたまま、シカマルが再度忠告する。
「あいつ…ナルは馬鹿正直な奴だからな。お前が言ったこと、鵜呑みにするだろーが」
「それの何が悪いんだよ」
反論されたシカマルがじろりと横目で睨みつける。おお怖い、と思ってもいない言葉を口にしながらキバは肩を竦めた。ちっとも悪びれた様子もないキバに、シカマルは益々顔を顰める。
その場の険悪な空気を感じ取ったのか、キバの傍らで赤丸が大きく吼えた。唐突な声に眼を瞬かせたキバは、不安げに見上げる相棒に苦笑する。
赤丸を抱え上げ、いつもの定位置である頭の上へ乗せると、キバはシカマルに不敵な笑みを浮かべた。
「―――ま、ナルにいいとこ見せてぇのはお前だけじゃねぇってこった」
「………チッ」
犬歯を覗かせて、にっと笑ったキバに、シカマルは舌打ちする。不貞腐れたようにそっぽを向く彼の背中を、キバがふざけて強く叩いた。
恋のライバルであると同時に仲の良い友人である彼らは、ナルの後を追うように公
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