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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第18話 「闖入者」
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始終黙して聞き入るその態度が、その常識に対する疑念を増長させていた。ISというものを最近になるまで理解していなかった一夏だからこそ辿り着いた、柔軟なアイデアだった。

(本当に大丈夫なんでしょうね?失敗したら承知しないわよ、一夏!)

一夏に頼まれたのはたった一つ、"『龍咆』を最大威力で敵に向かって放つこと"。今まで何発連射しても当たらなかった衝撃砲を連射不可能な最大威力で打てと言うのだ。鈴には一夏の思惑が理解できなかったがそれでも良い。一夏は今まで鈴に嘘を吐いたことはない。理由はそれで充分だった。

「よし、じゃあ早速・・・」
「一夏ぁ!」

一夏が突撃体勢に入ったまさにその時、ピットから一夏を呼ぶ声が聞こえた。ふと一夏がそちらを見ると、箒が肩で息をしながらピットに立っている。一人管制室を抜け出した箒は脇目も振らず一夏のもとへ駆けつけたのだ。

「男なら・・・、男ならその程度の敵に勝てなくて何とする!」

この声に敵が反応した。徐に腕部に搭載された高出力ビーム砲を構え、無防備な箒に照準を合わせる。

「箒、逃げろ!」

一夏の必死の呼び掛けも虚しく、敵は躊躇なく引き金を引いた。一筋の閃光が箒に向かって一直線に飛んでいく。箒には防ぐ手立てはない。一夏も鈴も距離的に間に合わない。箒は死を覚悟して目を閉じた。
・・・痛みが何時まで経っても襲ってこない。身体を焼かれる感覚もない。恐る恐る目を開いた箒の視界に、灰色のビットが映り込んだ。

「あれは・・・。」
『まったく、とんだじゃじゃ馬娘だ。危ないったらありゃしない。』
「零?その声、零か!?」
『よう、一夏。結構善戦してるな。感心感心。』

突然、プライベートチャネルから零の声が流れだし驚く一夏。しかし、零はそれを気にすることなく会話を続ける。

『あれは《武神》のビットだ。箒はこっちで保護するから、お前は自分のやるべきことをやれ。期待してるぞ。』
「・・・サンキュ、零。鈴、やれ!」
「分かった!」

零の言葉に励まされ、一夏は鈴に合図を送る。鈴は一夏の指示通り、エネルギーを充填し最大威力の『龍咆』の発射準備に移行する。すると、射線上に一夏が背を向けて立ち塞がった。このままでは『龍咆』が一夏に直撃してしまう。

「ちょっ、ちょっと馬鹿!退きなさいよ!」
「良いから打て!」
「はあ!?・・・ああもうっ、どうなっても知らないわよ!」

考えるほどの猶予は残されていなかった。鈴はそのまま『龍咆』を発射、巨大なエネルギーの塊が一夏の背中を襲う。

(いける・・・!)

一夏は後部スラスター翼を全開にして弾丸と化したエネルギーを取り込み圧縮、莫大な慣性エネルギーを生み出した。『零落白夜』を使用するためのエネルギーを残して瞬時加速を行うために外
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