第4部 誓約の水精霊
第4章 惚れ薬
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どな。確かに可能性はある」
ギーシュとモンモランシーはほっとした。
とりあえずは、まだ生きていられる。
ああ、生きているとはなんとすんばらしいことなのだ、とギーシュは思った。
それから三人は出発の打ち合わせをした。
早い方がいいということで、出発は明日の早朝ということになった。
一人にしておくと、何をするのかわからないので、ルイズも連れて行くことにした。
「はぁ、それにしても、授業をサボるなんて初めてだわ」
とモンモランシーが溜息をつく。
「なあに、僕は今学期なんか半分も授業に出てないぞ?ウルキオラが来てからというもの、何故か毎日が冒険だ!死と隣り合わせだ!あっはっは!」
と、ギーシュは満更でも無さそうに大笑いした。
丘から見下ろすラグドリアン湖の青は眩しかった。
陽光を受けて、湖面がキラキラとガラスの粉をまいたように瞬いている。
ウルキオラたちは、馬車を使ってここまやってきた。
手綱は、馬車を借りた所で働いていた者に頼んだ。
もちろん、その金はウルキオラが支払った。
ルイズは、馬車の中でウルキオラの膝の上にちょこんと座っている。
ウルキオラと一時も離れるのが嫌なようだ。
ギーシュはそんなルイズの姿を見て、実際ならこうなっていたのは僕なのか…と思うと、背筋が凍った。
馬車の窓に目線を移したギーシュは、顔を輝かせた。
「これが音に聞こえたラグドリアン湖か!いやぁ、なんとも綺麗な湖だな!ここに水の精霊がいるのか!感激だ!ヤッホー!ホホホホ!」
一人旅気分のギーシュが、馬車から飛び降りて、喚きながら丘を駆け下りた。
湖の中にトウッと飛び込んだ。
「背が立たない!背が!背ええええがあああああ!」
ばしゃばしゃとギーシュは必死の形相で助けを求めている。
どうやら泳げないらしい。
「やっぱり付き合いを考えた方がいいかしら」
向かいに座るモンモランシーが呟く。
「そうだな」
ウルキオラは相槌を打った。
何故かルイズが心配そうな顔でウルキオラを見上げる。
「モンモランシーがいいの?」
「違う」
馬車が波打ち際まで馬を近づけた。
必死の犬かきで、岸辺にたどり着いたギーシュが、恨めし気に一行を見つめている。
「おいおい、ほっとかないでくれよ!泳げない僕を見捨てないでくれよ!」
しかし、モンモランシーはびしょ濡れのギーシュそっちのけで、じっと湖面を見つめたまま、首を捻った」
「どうした?」
ウルキオラが尋ねた。
「変ね」
「何がだ?」
「水位が上がってるわ。昔、ラグドリアン湖の岸辺は、ずっと向こうだったはず…」
「本当か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ