第4部 誓約の水精霊
第4章 惚れ薬
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
つまり、何かウルキオラに対して負い目があるのだ。
それは、あの豹変したルイズに関係しているに違いない。
「モンモン」
ウルキオラは低く唸った。
「な、なによ……」
気まずそうに目を逸らす。
モンモンと呼ばれて怒らない。
ますます怪しい。
「ギーシュに何を飲ませようとしていた?」
ギーシュがえ?、と怪訝な顔をした。
「モンモランシー、どういうことだい?」
「ギーシュ。ルイズの変わりようを見ただろう?怒ったあいつが、あんな風にしおらしくなるわけがない」
ギーシュは腕を組んで考え込む。
鈍いので、思い出すのに時間がかかるらしい。
やっとのことで昨晩の様子を思い出したギーシュは、うむ、と頷いた。
「確かに君の言うとおりだ。ルイズがあんな風になるなんてありえない」
ウルキオラはモンモランシーに向き直る。
「モンモン。ルイズはテーブルの上にあったワインを飲んだ途端、豹変した。お前、ギーシュに飲ませるはずだったワインに何を入れた?」
そこまで言って、ギーシュはモンモランシーの様子が尋常じゃないことに気付いた。
唇をまっすぐ噛みしめ、額からたらーりと冷や汗を垂らしている。
「モンモランシー!まさか、あのワインに……」
「あの子が勝手に飲んだのよ!」
モンモランシーは痛まれなくなって、大声で叫んだ。
「だいたいねえ!あなたが悪いのよ!」
ギーシュを指さすと、その指をぐいぐいギーシュの胸に押し付ける。
逆切れである。
「な、なんだと〜!君、いったい何を入れたん……」
ギーシュが文句を垂れようとした時、体全体に重りが乗かったような感覚を覚えた。
モンモランシーとギーシュは、床に膝をつき、手で体を支えた。
食堂全体が地震に襲われたかのように揺れている。
石でできた壁に亀裂が走る。
ウルキオラが霊圧を開放したのである。
久しぶりにウルキオラの霊圧をその身に受けたギーシュとモンモランシーは恐怖で顔を歪めた。
あの時の記憶が鮮明に、走馬灯のように頭の中に流れ込んでくる。
ギーシュがウルキオラに決闘を申し込んで、負けたときの記憶が……。
食堂内は大騒ぎである。
しかし、そんなことはウルキオラには関係のないことだった。
目の前でひれ伏しているモンモランシーに目線を落す。
モンモランシーの体がびくっと震えた。
「御託はいい…お前、ワインに何を入れた?」
モンモランシーは何とか声を絞り出した。
「……惚れ薬よ」
「惚れ薬…だと?」
ウルキオラは理解した。
なるほど、そのような薬があるのならば、今のルイズの状態も頷ける。
霊
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ