第4部 誓約の水精霊
第4章 惚れ薬
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本当ですか?」
「ああ、邪魔したな」
ウルキオラは立ち去ろうとした。
しかし、昨日呼び出した用件が結局やっていなかったことを思い出した。
足を止める。
「ウルキオラさん?」
急に歩みを止めたウルキオラを心配そうに見つめた。
「シエスタ」
「はい」
「指輪はあるか?」
「え?ああ、ちょ、ちょっと待っててくださいね」
そういって、シエスタは厨房の奥へと消えていった。
暫くして戻ってくる。
「これですよね?」
シエスタはウルキオラから貰った指輪を渡した。
それを受け取る。
ウルキオラは指輪の宝石の部分に人差し指を押し当てる。
緑色の霊力が指輪の中に吸い取られる。
それを見たシエスタはわぁ、と顔を輝かせた。
「確かお前は魔法を使えないんだったな」
「え、ええ、貴族の方しか使えないので……」
ウルキオラは人差し指を離すと、それをシエスタに返した。
「そうだな……」
ウルキオラはあたりを見渡す。
そして、窓の外の地面に転がっている小さな瓶を見つけた。
窓を開く。
シエスタを指輪を握りながら、ウルキオラの行動を黙って見ていた。
「指輪を嵌めろ」
「は、はい」
シエスタは言われたとおりに指輪を嵌めた。
「外にある、あの瓶に指輪を向けて、『壊したい』と念じろ」
「は、はぁ」
シエスタはまたまた言われたとおりにしてみた。
すると、驚くことに、指輪から一センチ程の緑色の小さな玉が放出され、瓶に当たり、砕け散った。
辺りに破片が飛び散る。
シエスタは驚いた。
「な、なんですか!これ!」
「俺の霊力…魔力のようなものを、その指輪に埋め込めた。破壊したいと思う対象によって威力が自動的に調節されるようにした。まあ、上限はあるが人間一人を斃す力はある」
ウルキオラはシエスタに背を向け、歩き出した。
「肌身離さず持っていろ。お前に死なれては困るからな」
厨房の扉を開け、ウルキオラは去って行った。
シエスタは暫し放心状態だったが、踊り場に呼び出した理由がわかって、少しだけ、ほんの少しだけだけど、残念に思った。
食堂から出てきたモンモランシーの進路を妨害するかのように、ウルキオラは立っている。
隣にいたギーシュが尋ねた。
「どうしたんだい?ウルキオラ」
ウルキオラは答えない。
ただじっとモンモランシーを見つめた。
モンモランシーは文句を言うどころかさっと青い顔になった。
いつものモンモランシーなら、こんな顔はしない。
なによ!どいてよ!とルイズに輪をかけて高慢なモンモランシーは騒ぎまくるだろう。
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