第17話〜破滅の王〜
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「ど、どうやったら拳で地面に穴が開くようになるって言うのよ」
「え〜っと、筋力トレーニング?」
今度は女性人から、どうしてそれができるのか不思議でならないとアリサが声を上げる。
ケインの妥当なコメントには苦笑するだけだったが。
「すまない。まさかこんなに話が進まないとは」
「き、君のとんでもない怪力のせいじゃないか!?」
「・・・さて、色々とオーバーな評価をされていたみたいだけど、憲兵隊にいた頃は大尉を初めとして色々な人の世話になりっぱなしだった。身寄りもない俺なのに、よくしてもらったと思ってるよ」
「堂々とスルーしたな!」
「ど、どうどう」
「リィン、ダジャレは・・・ちょっと寒い」
「いや、そういうつもりで言ったわけじゃ・・・」
正論を突かれて露骨に話を逸らすケインにマキアスは当然抗議するが、それを宥めようとしたリィンの台詞はギャグだとフィーに指摘される。話が進まんでござると思うケインだが、そこにZ組クオリティを感じ、苦笑しつつも放任しておく。
「あはは・・・それにしても、ケインさんがそんなに凄い人だったなんて知りませんでした」
「ああ、私もだ。良好な人間関係を築けていたようだな。ところで、貴公はもしや・・・」
シンパシーを感じてくれたのか、エマも苦笑しながらコメントしてくれる。それに同感であったアレスの質問の意味をケインはすぐに悟り、少しの間をおいて口を開く。
「俺は大したことないよ。アレスが考えている通り、“子供たち”の一人だけどさ」
「・・・やはりそうであったか」
ヴァンダール家は代々、皇族の護衛を務めている。なので、こちら(・・・)の内情には詳しいはずだ。ケインはそれを理解していたが、あまり所属を明かすものではないので曖昧な言い方に留めておく。憲兵隊であったことを話した時点で今更ではあるが。
ケインやアレス、それに背景を知るZ組担任教官や第三学生寮管理人となったメイドら以外は、彼らのやり取りに疑問を感じずにはいられなかった。
「・・・その、子供たちって何なの?」
「それに関しては機密事項だよ、ミス・アプリコットジャム」
「だ、誰がアプリコットジャムよ、誰が!!」
(朝食でジャム一つに踊らされてたのはどこの誰だよ・・・)
昨日、ラインフォルト家の使用人、もとい第三学生寮の管理人となるためにやって来たシャロンと断固認めなかったアリサ。しかし、今日の朝食でシャロン作、帝国風ブレックファーストに全員で賞味していた際、(案の定不機嫌な)彼女がシャロンに「あ、お嬢様。大好物のアプリコットジャムをたくさん作って来ましたわ。せっかくですからシャロンがお塗りしましょうか?」と言われたときにはそれはそれは可愛らしい声で「え、ホント!
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