第17話〜破滅の王〜
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七耀暦1204年 6月20(日)
長かったようで短かった中間試験も終わり、通算3度目となった自由行動日を迎える。
第三学生寮に新たな“仲間”が加わったのは記憶に新しい。
「単刀直入に言うけど・・・何しに来たんだ、<<死線>>のクルーガー?」
アリサの実家の使用人であるらしいメイド服に身を包んだ女性、シャロン・クルーガー。キッチンにて先ほどZ組メンバー全員に振る舞った朝食の後片付けをしていた彼女に、ケインは導力銃を突きつけながらそう言い放った。他のメンバーはもう出かけてしまっており、今この第三学生寮にいるのは彼らだけだろう。短い静寂の中、その女性は物怖じすることなく銃口のほうへ振り向いた。
「・・・そちらの方は休業中です。わたくしはあくまでラインフォルト家の使用人。
ケイン様がお考えになっているようなことはございませんわ」
警戒心をむき出しにするケインに対して一瞬苦笑した後、真剣な眼差しでそう言うシャロン。
「分かった。とりあえず、あんたの言葉に嘘がないことは信じるよ・・・いきなり疑うような真似をしてすまない」
「いえ、それはお気になさらず・・・ケイン様も色々大変ですわね」
はぐらかされるという予想に反して真摯な態度で対応され、ケインは少々ばつが悪そうに眉を伏せた。
「お詫びがてら今晩、シャロンさんの歓迎会をしたいから・・・まぁ、そのつもりでいてくれ」
「ふふっ、ありがとうございます。貴方はお優しいのですね。わたくしも何かお手伝いいたしましょうか?」
「いや、別にいいんだけど・・・(なんだか、調子狂うんだよな)」
そう言って微笑むシャロンは、ついさっきまで銃口を突きつけられていたのに不快に思っている素振りが微塵もない。そんな彼女の人間性に、ケインはどこか半信半疑な心地でいながら、ベルトポ−チから取り出したアークスを開くのだった。
「・・・というわけで、リーダーさん。何か一言」
「いや、別にリーダーというわけじゃないんだが・・・」
毎月恒例のリィン探検隊による旧校舎調査も無事に終了し、Z組メンバーの部活動にも一区切りがついた頃、ケイン主催、リィン司会によるシャロン歓迎会が始まろうとしていた。彼女の入団(?)を断固認めないとしていたアリサは主催者に怒りの鉄槌・・・ではなく視線を送っているが、大体のメンバーがウェルカムトゥ第三学生寮といった感じで当寮の管理人となる彼女に温かな視線を送っている。否、一人だけ怒りの視線を送っているものがいた。
「・・・ちょ、サラ教官。どうしてそんなに不機嫌そうなんですか?」
「ケイン、抱っこ」
「何にも関係ありません、というか嫌ですよ。甘えん坊の三歳児じゃないんですから」
「・・・む〜」
どうやらサラとシャロンは初
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