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101番目の舶ィ語
第五話。異世界にある村
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が出来ないかもしれません』

……ってな。

つまり、『絶対に出られない』ではなく、『出る事が出来ないかもしれない』である以上、『出る事は出来る』んだ!
まあ、確証はないんだけどね。

「少し歩いてみようか」

「解りました」

「う、うん」

俺が歩き始めると、俺の横を一之江がスタスタ歩き、音央は俺の服の裾を摘んでついてきた。





2010年6月1日。富士蔵村。


しばらく歩いていると、広い駐車場のある二階建ての建物に辿り着いた。
辺りはもうすっかり暗くなっていて、街灯が弱々しく道路を照らしていた。
空には、いつの間にか雲がかかっていて、どんよりとした無色の空になっていた。
一雨降ったりしそうだが、こういう異世界の村でも雨っていうのは降るものなんだな。

「ええと、自治会館かな?」

音央が目の前にある建物を見て呟いた。
入り口の所には『富士蔵村自治会館』とある。

「そうみたいですね」

そう頷いた直後______。

「んっ……」

一之江が両手を広げ、俺達を庇うようにして身構えた。
人影??
狙撃手か??

「何を??」

「ごめんよ」

俺は咄嗟に一之江に抱きついた。
一之江に抱きつきながら片手で『弾をキャッチ』するつもり、で一之江の前に右腕を出して構える。

「ど、どうしたの?」

音央が不安そうに尋ねていたが、一之江の視線の先。
______自治会館の二階の窓。
そこに、俺達の事を見ている人影があった。
狙撃手かと一瞬思ったが違った。
よくよく考えてみれば狙撃手が人前に姿をあらわすはずはないしな。
人影を見るとその姿は……小さな子供。
男の子と女の子だった。
その2人の子供が、興味深そうな顔をして俺達を見ていた。

「子供……?」

音央は一之江の手だけではなく、俺の服も強く握って呟いた。
男の子と女の子は、そんな俺達を見てニコニコ笑うと。
そのまま、建物の部屋の奥に走り出して引っ込んだ。

……降りて出てくるつもり、だろうか?

「警戒だけはしておいて下さい」

「解った」

Dフォンは熱くなっていない。
とはいえ、直接的な危険ではない可能性もある。
警戒して損はない。

やがて、建物の入り口から、片手に白い傘を持った赤いワンピースを着た少女が出てきた。
歳は俺達と同じか、やや下くらいかな。
そして……その少女のすぐ後ろには少女の背に隠れているさっきの子供達の姿と、赤いワンピースの少女から2、3、?離れた位置に、見覚えがありまくるセーラーメイド服を着て、金色の髪を腰まで伸ばし、頭にしているヘッドドレス(ホワイトブリム)から犬耳を隠さずに出している……困ったメイドさんの姿がそこに在
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