第十四章 水都市の聖女
第七話 戦いの始まり
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た。
風に乗って広がる煙が立ち込める中、ルイズは入り口で馬を止めると背後を振り返った。
「……十体、か」
「なに? 自信ないの?」
ルイズの横に馬を進ませたキュルケが揶揄うように鼻を鳴らすが、ルイズはチラリと視線を投げつけただけで直ぐに虎街道の入口へと顔を向けた。
「四回、いえ五回ね……六回以上は無理よ」
「効果範囲は?」
目を閉じ自分の中に満ちる力の量を確認したルイズが冷静に自分の状況を口にすると、ルイズを挟むようにキュルケとは反対方向に馬を進ませたタバサが、読んでいた本を閉じ顔を上げて質問をする。
「甲冑を着たゴーレムが前に見たのと同じものだったら……上手く巻き込めても二体が限界ね」
「上手く巻き込めてもぎりぎり、というわけか」
指折り数を数えていたキュルケが眉根に皺を寄せると、重い溜め息に混じってルイズが不安を口にした。
「……だと、いいんだけど」
「含みがある口ぶりね。何か不安要素でもあるのかしら?」
キュルケが伏せたルイズの顔を覗き込む。向けられた視線をジロリと跳ね返したルイズは、口元に手を当て胸の奥で渦を巻く形の無い不安を、一つ一つ口から出して形と成す。
「鎧を着たゴーレムという事は、相手はあのミョズニトニルンの可能性が高いわ。何をするか分からないし、絶対に油断は出来ない。それに、あのゴーレムは一度倒されてる。いくら強力なゴーレムだからって、一度倒されてるゴーレムをそのまま使うとは思えないのよ」
「……つまり、何が言いたいの?」
伏せていた顔を上げ、ルイズが虎街道の入口を睨み付ける。
「何か対策を考えているかもしれない」
「……そういう事よ」
キュルケの疑問に答えたのはルイズではなくタバサであった。ルイズはタバサの言葉に頷くと、右手に握った杖を強く握り締める。
「考えすぎなんじゃない?」
「……そう、かな」
「最悪を想定して動くのは悪い事じゃない」
軽い口調のキュルケの言葉に自信が揺らいだルイズだったが、タバサの何時もの冷静な、しかし奥に潜む硬い声音にルイズだけでなくキュルケも顔を険しくする。タバサがその可憐な少女とは考えられない程の歴戦の戦士だとルイズとキュルケが知っているからだ。二人の視線がタバサに向けられる。
「最悪を想定、ね……なら、あなたならどんな作戦を考えるのかしら?」
「……敵の数が多すぎる」
「そう、ね」
タバサの言葉にルイズたちは頷く。
現実的に考えて最低でも十体はいる巨大なゴーレムを倒せる可能性はかなり低い。
タバサは顎先に手を当て考え込む仕草を見せると、眼前に聳える虎街道。その左右の切り立った崖を見上げるとポツリと呟いた。
「勝てる可能性は低い。なら取
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