第十四章 水都市の聖女
第七話 戦いの始まり
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んな混乱の坩堝と化したアクイレイアを一つに纏めて見せたのは、アクイレイアに集まったブリミル教の頂点に立つ男―――教皇ヴィットーリオ。
怒り、恐怖、哀しみ、怯え―――様々な感情が沸き混沌のアクイレイアをヴィットーリオは一つの意志に纏め上げ―――狂乱へと落とした。
“聖戦”という名の敵を全滅させるまで終わらない狂気の祭りへと。
『エルフと手を組み戦争を仕掛けてきたガリアを打倒し、エルフより“聖地”を奪還する』と聖戦を宣言したヴィットーリオの行動は早かった。百隻を超える“ガリア義勇艦隊”は何故か国境付近で動きがないままロマリア艦隊と睨み合いを続けているとのことから、攻め込んできているのはティボーリ混成部隊を全滅させた謎のゴーレムの集団だけ。とはいえ相手はティボーリ混成部隊を一蹴した謎のゴーレム。何も考えず軍を仕向けても二の舞を演じるだけである。謎のゴーレムが“虚無の使い魔”であるミョズニトニルンの手によるものだと理解していたヴィットーリオは、巫女として務めさせていたルイズを聖女に祭り上げ、虎街道を進むゴーレムに対しルイズを中心にした部隊を差し向けたのだった。
かくして“アクイレイアの巫女”となったルイズは、カルロ率いるアリエステ修道会付き聖堂騎士隊と民兵の連隊、そして水精霊騎士隊を従え虎街道へと進んでいた。
「はぁ〜……せめて副隊長がいてくれたら……」
「そういうなって。副隊長は副隊長で無理難題―――それこそぼくらよりも大変な所へ行っているんだぞ」
「まあ……大変というより無茶だよね」
「普通に考えれば死にに行くようなものだよ」
水精霊騎士隊の面々は顔を見合わせ溜め息を重ね合うと、示し合わせたかのように同時に同じ方向へと顔を向ける。精霊の如く美しくも恐怖の代名詞となった我らが副隊長が向かった戦場―――二つの艦隊が睨み合う空中の戦場へと。
「……何十隻っていう艦隊同士の戦場だ。副隊長一人が加わったって変わらないじゃないか」
「一人でも戦力が欲しいんだろ。敵の艦隊はロマリアの倍近いって聞くからね。副隊長は竜に乗れるし、貴重な戦力なんだよ」
ギーシュが吐き捨てるように言うと、ズレた眼鏡を直しながらレイナールが応える。
確かにレイナールの言葉の通りなのだろう。国境での艦隊同士の睨み合いは何時戦闘へと変わるかは分からない。もし戦闘が始まれば竜騎士は貴重な戦力である。そんな戦力を放っておける程の余裕はロマリアにはなかった。そのため竜を騎獣とするセイバーは、ロマリアの司令部より『ロマリア艦隊を支援しろ』と命令を受け国境へと一人向かったのである。
そして残されたのは隊長、副隊長がいない水精霊騎士隊の騎士四名のみ。
ハッキリ言えば戦力は半減どころか一分(1%)程度に落ちてしま
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