第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
[10/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
僕は君以外の女性がもう、目に入らない」
モンモランシーはようやくギーシュの方を向き、すっと、ギーシュに左手を差し出す。
ああ、とギーシュは感嘆の声を漏らし、その手に口づけをした。
「ああ、僕のモンモランシー……」
ギーシュは唇を近づけようとしたが、すっと指で制された。
「その前に、ワインで乾杯しましょう。せっかく持ってきたんだから」
「そ、そうだね!」
テーブルの上には、ワインの瓶と陶器のグラスが二つ置いてあった。
ギーシュはそれらを携えて、モンモランシーを呼び出したのである。
ギーシュは慌てて、ワインをグラスについだ。
すると、モンモランシーはいきなり空を指さした。
「あら?裸の女性が空を飛んでる」
「え?どこ!どこどこ!」
ギーシュは目を丸くして、空をくいるように見つめている。
なーにーがー、『君以外の女性は目に入らない』よ、やっぱりこれを使わなきゃダメねと思いながら、モンモランシーは袖に隠した小瓶の中身を、ギーシュの杯にそっと垂らした。
透明な液体がワインにとけていく。
モンモランシーはにっこりと笑った。
「嘘よ。じゃあ、乾杯しましょう」
「やだなぁ、びっくりさせないでくれ……」
と、ギーシュが言った瞬間、目の前で旋風が起こった。
ギーシュは驚き、転んでしまった。
しかしてそれは、ウルキオラであった。
「なんだ!きみはぁ!!」
ギーシュはすぐさま立ち上がり、ウルキオラに近づいた。
なんだか、焦げ臭いにおいがする。
ギーシュは視線を下に下した。
なんと、ウルキオラの右手の皮膚が爛れ、血が滲み出ていた。
「どど、どうしたんだね!その腕は!」
ギーシュは大声で叫んだ。
ウルキオラはギーシュの言葉で、自分の右腕を見つめた。
思っていた以上に、腕が爛れていた。
未だに血が滴り落ちている。
そこで、ウルキオラはあることに気が付いた。
しまった、というような顔で後ろを振り返る。
顔を歪めた。
地面には所々に血の跡が残っていた。
響転は、一瞬で移動したかのように見えるが、実際には空間を経由して移動する。
なので、血が地面に落ちるのは必然なのである。
どんなに早く動こうとも、霊力の足場を作らなければ、重力には逆らえないのだ。
ルイズはこの血の跡を手掛かりにして、後を追ってくるだろう。
先に超速再生を用いて回復させておくべきだったと後悔した。
そんなウルキオラの姿をみて、モンモランシーが心配そうに顔を覗き込んだ。
「どうしたの?その先に何かあるの?」
モンモランシーはウルキオラの見つめている先に視線を移した。
な
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ