第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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めた。
ルイズもウルキオラのその行動に驚いた。
怒りが立ち込める。
握っていた杖が光り出す。
膨大な魔力が杖の周りを包み込む。
「おい、ルイズ」
ウルキオラは何故か怒り狂っているルイズを宥めようとした。
しかし、時すでに遅し。
ルイズの思い込みは、もうとどまることを知らなかった。
「なによ、あんた。ご主人様をほったらかして、メイドの娘といちゃいちゃと……」
シエスタは怖くなって物陰に体を隠した。
ウルキオラは思わず身構えてしまった。
命の危機は感じないが、まともに喰らったらダメージが残るだろう。
霊力を分け与えたのは失敗だったか、と思いながらルイズの虚無魔法を抑え込む準備をした。
「相棒、これはちょいときついぜ」
ウルキオラの背中に差してあるデルフが、震えながら言った。
「あ、あんたなんか…あんたなんか、大っ嫌い!!」
ボンッ!と音がして、二メートル弱の光の玉が、ウルキオラに向かって放たれた。
ウルキオラはそれを片手で受け止め、地面にたたきつける。
ウルキオラは舌打ちをした。
抑え込めないのである。
次の瞬間、バコーンっと大きな爆発が起こった。
ウルキオラは、響転で後ろに移動した。
右手からはもくもくと煙が立ち込めていた。
肘から下の布は消え去り、ウルキオラの右手にもいくつか傷があった。
ウルキオラはそのまま響転でその場を後にした。
踊り場から顔を出してルイズが怒鳴る。
「待ちなさいよ!」
ルイズは今さっきまでウルキオラがいた場所に駆けた。
「もう!あんなの反則でしょ!瞬間移動なんてされたら…え?」
ルイズはふいに地面を見つめた。
ところどころに、血の跡があった。
それを見て、ルイズは罪悪感に見舞われた。
しかし、それよりも怒りの方が勝っていたので、罪悪感はすぐにルイズの心の中から消滅した。
顔を上げる。
すると、点々とだが、血で道しるべが出来ていた。
ルイズはそれを頼りに、ウルキオラを追った。
ギーシュはアウストリの広場の一角で、椅子に腰かけているモンモランシーを一生懸命に口説いていた。
モンモランシーの容姿を薔薇のようだと、白薔薇のようだ、野薔薇のようだと、とにかく薔薇を並べて褒め、それから水の精霊を引き合いに出して盛んに褒めちぎった。
しかし、モンモランシーはギーシュに背中を向けて、月を見ながら黄昏ている。
ギーシュは仕方なく、さらに頭を捻って、気を引くための言葉を繰り出す。
「きみの前では、水の精霊も裸足で逃げ出すんじゃないかな?ほら、この髪……。まるで金色の草原だ。キラキラ光って星の海だ。ああ、
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