第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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遮られた。
「ウルキオラさん……」
仕事を終わらせたシエスタが現れたのだ。
なんで私をほっぽりだしてメイドとあってんのよ!
ルイズは怒りで震える体を、何とか押さえつけ、様子を伺うことにした。
「来たか、シエスタ」
ウルキオラはポケットに手を突っ込んで、シエスタの方を向いた。
「お、遅くなりました」
「指輪は持ってきたか?」
「は、はい」
シエスタは指に嵌めた指輪をウルキオラに見せるために、右手を差し出した。
嵌めこまれた緑色の宝石が、キラリと輝いた。
ウルキオラはシエスタの右手とり、掌の上に乗せた。
シエスタは、あっと声を上げた。
そのとき、がたん!と背後で樽が揺れる音がした。
ルイズの仕業である。
シエスタがきゃっ!と叫んでウルキオラに抱き着いた。
にゃあにゃあ、ちネコの鳴き声が聞こえてくる。
シエスタは胸をなでおろした。
「よかった、ネコでしたか」
しかし、ウルキオラは疑惑の目でその樽を見つめた。
「ウルキオラさん?」
シエスタは樽を見て固まっているウルキオラに声を掛けた。
すると、なんとウルキオラはその樽を蹴っ飛ばした。
樽はボコッといい音を鳴らして倒れる。
「ウ、ウルキオラさん!何を……」
すると、樽の中からみぎゃ!という声が聞こえた。
人間の声であった。
倒れた反動で、樽の蓋が外れた。
その蓋がコロコロと転がって、壁にぶつかった。
「何をしている?ルイズ」
ウルキオラの声を聞いたシエスタは、戸惑いながらも樽の中を覗き込んだ。
樽の中から、何かが出てきた。
ルイズであった。
「ミス・ヴァリエール!い、いったい何を……」
シエスタがルイズに問いかけるが、ルイズはそれどころではなかった。
樽から飛び出すと、頭を擦りながら。キッとウルキオラを睨んだ。
「痛いじゃないの!何すんのよ!もう!」
「蹴っ飛ばした」
「そんなこと聞いてないわよ!何で蹴っ飛ばしたかって聞いてるの!」
ルイズははぁ、はぁと息を切らしながら言った。
「なんとなくだ」
「な、な、なんとなくですって!あんた、なんとなくでご主人様の……」
ルイズは激昂してウルキオラを問い詰めようとしたが、ウルキオラがシエスタの手を握っていることに気付いた。
思わず言葉が詰まる。
「な、な、なんで手を握ってんのよ!」
ウルキオラは気づいたかのように自分の手を見た。
そういえば、まだた試していなかったな、と思い、シエスタの手をもう片方の手で包む。
手を包み込まれたシエスタは、目を見開いて、恥ずかしそうにウルキオラを見つ
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