第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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な〜。ほんの半刻前に出て行ってしまいましたよ」
「そうですか……どこに行くとこ言ってましたか?」
「うーむ、言っていなかったよ。そういうのを言う人じゃないですからね」
ルイズははぁ、と溜息をついて、ゼロ戦を見た。
驚いた。
機首のエンジン部分が機体から外されて、地面に下されて、無残に分解されていた。
「おお、これかね?なあに、構造に興味を抱いてな。ウルキオラ君に許可を貰って軽く分解させてもらった。複雑だが、理論的には私の設計した『愉快な蛇君』とたいして変わらぬ。しかし、これがなかなか脆い代物でな。一回飛んだら、きっちり分解して部品のすり合わせを行わんといかんようだ。そうしないと、所定の性能を発揮できぬばかりか、壊れてしまう可能性もある……」
コルベールはとうとうエンジンの構造と整備について語り始めた。
「は、はぁ。では失礼します」
ルイズは、そんな話にはあまり興味がなかったので、ぺこりと頭を下げると再び走り出した。
その背中に向かってコルベールが叫んだ。
「ミス!ウルキオラ君にあったら伝えてくれたまえ!君の望んでいたものが完成したと!」
次にルイズがやってきたのは、風の塔である。
魔法学院は、本党を中心として、五芒星のかたちに塔が配置されている。
風の塔はそのうちの一つだ。
殆ど授業にしか使わない塔である。
入口は一つしかない。
ルイズは入口の扉に、怪しい人影が消えるのを目撃した。
ふくよかな体をもった人物であった。
誰だろう?
黒い髪をしていた。
ルイズはこっそり後を追った。
風の塔は扉を開けると、まっすぐに廊下が走り、左右に半円形の部屋が配置されている。
そして、入って左側に螺旋状の階段がついている。
ゆっくりと扉を押し開くと、コツコツと階段を上る足音が聞こえた。
ルイズはしばらく一階で息を潜めた後、後を追いかける。
二階から扉が開き、そして閉まる音が聞こえた。
足音を立てないように注意して扉の前までやってきたルイズは、そこにぴたりと小さな体を寄せた。
ここは確か、倉庫だったはずである。
いったい、あのふくよかな人物は、ここで何をしようというのだろう。
ルイズは桃色がかったブロンドの髪をかきあげ、耳に扉をつけた。
中からは、妙な声が聞こえてくる。
途切れ途切れの……。
「はぁ、ん、はぁはぁ……」
そんな声だった。
ルイズの眉がへの字に変わる。
小さいため、誰の声かわからない。
しかし、男の声だ。
ルイズは、こんなところで行為に及んでいるのでは?と妄想した。
ばぁーん、と扉を開けて中に踊り込んだ。
「なにして
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