第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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ん、渡したんだ。
と、ふてくされたようにルイズは言った。
ウルキオラは放課後になると、ルイズを気にも留めずに、逃げ去るように教室から消えた。
「なんで私の近くにいてくれないのよ…」
ルイズは思いっきり不機嫌な顔になった。
何かすっごく、嫌な予感がする。
これ、女の感よ。
ウルキオラは厨房へ向かった。
何故か、昼食の時にシエスタに話しかけようとすると、ルイズがなんだかんだ話題を作って話しかけてくるので、声を掛けられなかったのである。
現れたウルキオラを見て、厨房で洗い物をしていたシエスタは顔を輝かせた。
「わあ!ウルキオラさん!」
コック長のマルトー親父もやってきて、ウルキオラの首にぶっとい腕を巻きつけた。
「おい!我らの勇者!久しぶりだな!」
「ああ」
「やい!最近、ここに顔も見せないじゃないか!シエスタがいっつも寂しがっているぞ!」
わははは、と厨房のあちこちから笑い声が飛んだ。
シエスタは顔を真っ赤にして皿を握り始めた。
ウルキオラは、シエスタの方を向いた。
「シエスタ」
「は、はい」
「仕事が終わったら、昨日渡した指輪を持って、ヴェストリの広場に上がる階段の踊り場に来てくれ」
「え?」
「試したいことがある」
「はい」
シエスタはうっとりと顔を赤らめた。
マルトーや他のコックたちも、にやにやしている。
それからウルキオラは邪魔したな、とだけ残して去って行った。
「ああ……私……」
「よかったじゃないか!シエスタ!お呼び出しだぞ!」
マルトーがシエスタの肩に手を置いた。
「試したいことってなんすかね?」
一人の若いコックがニヤニヤしながら言った。
しかし、シエスタの耳にはもう入らない。
顔を思い切り赤めて、うっとりした声でシエスタは呟いた。
「どうしよう。ああ、わたし、試されちゃうんだわ……」
それが、大きな勘違いだったと知るのは、もう少し先の話である。
さて、一方、ルイズは学園中を歩き回ってウルキオラを捜していた。
教室を出たっきり、姿を見せないのである。
火の塔を周り、ミスタ・コルベールの研究室といっても、ボロい掘立小屋である。
コルベールは暇なときは殆どここに入り浸っているのであった。
しかし、そこにはウルキオラはいなかった。
コルベールが一人、研究室の前に置かれた竜の羽衣……、ゼロ戦に取り付いてカンコンカンコンなにかをやっているところであった。
ルイズはコルベールに尋ねた。
「ミスタ・コルベール。ウルキオラを見ませんでしたか?」
「あらら、入れ違いです
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