第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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んと、そこには息を荒げた女の子が一人立っていた。
ルイズである。
ルイズは低い声を上げながらウルキオラに近づいた。
「観念しなさい…ウルキオラ」
ウルキオラは答えない。
ルイズはテーブルの横で立ち止まると、ワインのグラスを持ち上げた。
モンモランシーがあっ!と低い声を上げたが、もう遅い。
ルイズは一気に飲み干してしまった。
「ぷはー!走ったら喉が渇いちゃったわ。それもこれもあんなのせいよ!ウルキオラ!」
ルイズはウルキオラの左手を掴み、ぐいぐいと引っ張った。
ウルキオラはまったく反応を示さない。
「こっちにきなさい……、んあ?」
ウルキオラを見つめ、そう言った瞬間……、ルイズの感情が変化した。
ルイズは自分をほったらかしにして、他の女の子と一緒にいることが許せなくて、ウルキオラを追いかけまわしていた。
ルイズみたいな女の子したら、それはもう大変なのである。
つまり、どっちかというとプライドが許さないのである。
しかし、今ウルキオラを見た瞬間、ウルキオラへの好意が膨れ上がった。
それまでだって、そりゃ微妙に好きだった。
自分では決して認めないが、そりゃ好きなのである。
だからこんなに嫉妬したのだ。
しかし、この瞬間、半端なしに好きになっていた。
当のルイズが混乱するくらい、その感情は大きかった。
ルイズは思わず頬を両手で覆った。
やだ……、私、こんなに好きだったの?
こんなに、こんなに好きだったの?
ルイズの目からぽろぽろと涙が溢れてきた。
怒りより、罪悪感より、悲しみの感情が大きくなったのである。
自分はこんなにも好きなのに、どうしてウルキオラは私を見てくれないんだろう。
それが悲しくて、ルイズはポロポロと泣き始めた。
「どうした?急に」
ウルキオラはころっと態度を変えたルイズを見て、疑問に思った。
ギーシュも驚いて、いきなり泣き出したルイズを見守っている。
モンモランシーはしまったぁ〜〜、と頭を抱えていた。
ギーシュに飲ませるつもりの薬を、ルイズが飲んでしまったのである。
「おい、ルイズ」
ルイズはウルキオラを見上げて、その胸に取りすがった。
「ばか!」
「?」
「ばかばか!どうして!どうしてよ!」
ポカポカとルイズはウルキオラを殴りつけた。
「お前……」
今まで火のように怒っていたのに、まるっきり態度が違う。
ウルキオラは困惑した。
「どうしてわたしをみてくれないのよ!ひどいじゃない!うえ〜〜〜〜ん!」
ルイズはウルキオラの胸に顔を埋めて大泣きした。
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