第4部 誓約の水精霊
第3章 指輪
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、とギーシュがもったいぶって咳をする。
「それで?なぜ指輪をあげたんだい?」
「お前には関係ない」
ギーシュは立ち去ろうとするウルキオラの手を掴んだ。
「な、なあ。あの指輪どこで買ったんだい?」
「聞いてどうする?」
ギーシュははにかんだ笑みを浮かべた。
「あ、あの綺麗な指輪をプレゼントしたい人物がいるんだ」
それを聞いて、ウルキオラの頭の中に決闘のときに割り込んできた女の顔が浮かんだ。
「お前にワインをかけた女か?」
「そそ、モンモランシーだ」
「モンモンというのか?」
「モンモランシーだ!」
ギーシュは大声で言った。
「それで?今になってヨリを戻したくなったのか?節操がないことだな」
ギーシュはごほごほと、話をそらすように咳払いをした。
「どこで売っていたんだい?」
ウルキオラはポケットから指輪を一つ取り出して、ギーシュに投げた。
ギーシュはそれを二、三回宙にバウンドされた後、キャッチした。
「くれてやる」
ギーシュの顔がぱあっと輝く。
「ありがとう!」
ウルキオラは何も言わずに、歩き始めた。
さて、その日の夜。
長い金色の巻髪と鮮やかな青い瞳が自慢のモンモランシーは、寮の自分の部屋でポーションを調合していた。
ただのポーションではない。
なんと、いけないことにそれは禁断のポーションであった。
国のふれで、作成と使用を禁じられている代物であった。
完成したそれを、こぼさぬように細心の注意を払いながら、小瓶に入れていく。
すると、扉がノックされて、モンモランシーは飛び上がった。
「だ、だれよ……。こんなときに……」
机の上の材料や器具を引き出しの中にしまう。
それから、髪をかきあげながら扉へと向かった。
「どなた?」
「僕だ。ギーシュだ!君への永久の奉仕者だよ。この扉を開けておくれよ」
だーれーがー永久の奉仕者よ、とモンモランシーは呟いた。
ギーシュの浮気性にはほとほと愛想がついていた。
並んで街を歩けばきょろきょろと美人に目移りするし、酒場でワインを飲んでいれば、自分がちょっと席を立った隙に給仕の娘を口説く。
しまいにはデートの約束を忘れて他所の女の子のために花を摘みに行ってしまう。
永久が聞いて呆れるわ。
モンモランシーは、イライラした声で言った。
「何しに来たのよ。もうあなたとは終わったはずよ」
「そんなこと言わないで開けておくれよ。愛しのモンモランシー」
バカじゃないの。
「帰って。わたし、忙しいの」
モンモランシーが冷たくそういうと、暫く沈黙が走った。
そのあと、
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