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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶  〜 帝国歴487年(一) 〜
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た。
「新年早々お呼び立てして申し訳ない、休暇中だったかな」
「いや、お気になされるな。所用が有って統帥本部に行こうと思っていたところだ」
「そうか、そう言っていただけると助かる。こちらへ」
ソファーに座ると従卒がコーヒーをテーブルに置いて下がった。人払いは既に命じてある、部屋には私とシュタインホフ元帥の二人だけだ。なんとも気まずい空気が漂った。日頃仲が良くないというのも考え物だ。

「折り入って相談したい事が有るとの事だが何用かな、軍務尚書」
「困った事態になった。統帥本部総長の力を借りたい」
「……」
「ミュッケンベルガー元帥が本日、陛下に辞表を捧呈された」
「……受理されたのかな」
「いや、まだ受理はされていない。保留と考えて欲しい」
シュタインホフ元帥が一口コーヒーを飲んだ。驚いた様子は無い、相談される事を想定していたか。可愛げの無い男だ。一口コーヒーを飲んだ、苦みが舌に残った。

「理由は病気の事かな、心臓に異常が有るとの事だが」
「そうだ、狭心症との事だった」
「陛下から慰留は」
「慰留されたのだが司令長官の辞意が固い」
“そうか”とシュタインホフ元帥が頷いた。

「戦場には出られずとも国内で後方から支援するという役割も有ると思うが」
「その事は陛下からも御言葉が有った。そういう形で現役に留まる事は出来ぬかと。だが司令長官は前回の戦いで人事不省になった事を酷く愧じている」
「ミュッケンベルガー元帥ならさもあろう」
しんみりとした空気が流れた。潔くは有るが惜しいという感情は当然有るだろう。ここ近年の宇宙艦隊の働きは誰もが認めるものだ。

「しかし保留とはどういう事かな? 軍務尚書」
「陛下から至急ミュッケンベルガー元帥の後任人事案を提出せよとの御言葉が有った。納得出来るものであれば司令長官の辞職を認めるとの事だ。後任者を選ぶのは難しいと御考えなのかもしれん。ミュッケンベルガー元帥の後任だからな。納得出来る人事案を持って来なければ辞表を受理出来ぬという事だろう」
“なるほど”とシュタインホフ元帥が頷いた。

「至急後任者を決めねばならん。それで卿を呼んだのだ」
「ミュッケンベルガー元帥が加わらなくて良いのかな?」
「司令長官から我ら二人で決めてくれとの事だ。それとヴァレンシュタイン少将の処遇も決めねばならん。陛下から早めに処遇を決めるようにと御言葉が有った」
「陛下から……」
シュタインホフ元帥が驚いたような声を出した。

陛下から御言葉を聞いた時は自分も驚いた。ヴァレンシュタインは軍の実力者になりつつあるがそれでも若手士官の一人に過ぎぬ。陛下が気遣う様な立場にはないのだ。異例の事といって良いだろう。だがこれでヴァレンシュタインを中央に置いておくことが出来る。或いはリヒテンラーデ侯
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