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突然ですが、嫁ぎ先が決まりました。
5、その言葉、忘れないでね

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 意識が浮上する。
 マリーが起こしに来ていない、と言うことはまだ起床する時間ではないのだろう。
 いつもであれば、マリーに起こしに来るまで、二度寝、三度寝を繰り返すが今日ばかりはそうもいっていられない。まだ眠気の残る体を起こして、ミヤコは窓へと向かう。
 バルコニー付きのその場所は春先の暖かい日など、ミヤコのお気に入りの場所だ。
「ふぅ……」
 朝の澄んだ空気を取り入れるように深呼吸して、残っていた眠気を覚ます。
 あれから、一週間経った。
 ーーミヤコ御披露目式ーー
 とうとう来てしまった、と言うのがミヤコとしては正直な感想だ。
 ……だって、全然待ってなんかいないし。
 それでも決まってしまったものはしょうがないし、このような場を設けることは王族である者ならば仕方のないこと。
 だからこそ、ミヤコは一つだけ条件を付けたのだ。
 仮面着用。
 それは、ミヤコが出した条件。誰でも気兼ねなく参加できるように、と配慮して出した理由はもちろんそれだけじゃない。
 コンコン、と控えめなノックがされる。きっとマリーだ。
「ミヤコ様」
 案の定、マリーの声が扉越しに掛けられる。
「起きているわ、どうぞ」
 そう声を掛けると扉が開き、マリーが姿を現す。
「おはようございます、ミヤコ様」
「おはよ、マリー。……何?」
「いえ……。あれだけ渋っていらっしゃったので、今日は素直に起きていらっしゃらないのでは、と覚悟しておりましたのに」
「まぁ、ね……」
 不思議そう言ってくるマリーに苦笑するしかない。普段のミヤコであれば、未だにグダグダ文句を言っていただろうことは容易に想像出来る。
「とうとう来ちゃったかーって感じよ、こっちとしては。でも、来ちゃったものは仕方ないし、やるだけのことはやってきたわけだし」
 肩を竦めて見せてミヤコが告げる。
 ここまで来たら、ミヤコがあーだこーだ言っても無駄なのだ。
「あたしの為って言っても、これで経済賄えるんだったらいくらでも利用すればいいし。それに……」
「それに?」
「──なんでもないわ」
 浮かんだアルマの顔をマリーに見られることなんてないのに、慌ててすぐに打ち消す。
「でも、ずっと出っぱなしってのは気が張るし、疲れるのよね。マリー、ちょっと休憩するくらいは協力してね?」
「私に出来ることでしたら、いくらでも」
 そう言って頭を下げるマリーにミヤコは口元で笑みを作る。
「ありがとう、マリー。その言葉、忘れないでね」

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