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突然ですが、嫁ぎ先が決まりました。
4、人形になるなんて真っ平ごめんよ。
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…。
 言葉をなくして、互いに見合う。
 そして、どちらともなく笑みが零れた。
「そう言えば、私まだ名前を聞いてなかったわ。私はミヤコ」
「アルマだ」
「アルマ、ね。アルって、呼んでいい?」
「構わねーよ」
「それじゃ、アル。改めて、助けて頂いてありがとうございました。……何かお礼を、と言いたいところなんだけど、生憎持ち合わせが何もないのよね」
 肩をすかせて告げる。
 ホントなら、城に招待してそれ相応の礼を、とは思ったのだが、なんとなく。そう、なんとなくアルマに自分がこの国の王女と告げたくなかった。
 きっと、知ればもう元には戻らないと知っているから。知ってしまえば、こんな風に話せなくなってしまうだろうから。
「礼には及ばないさ。……どうしても、と言うなら先ほどミヤコの歌っていた唄が聴きたい」
「私の……唄?」
「ああ。先程歌っていただろう?」
「それは、構わないけど……。そんなことで、いいの?」
 唄でいいのなら、いくらでも歌おう。命の恩人とも言うべき彼になら、易いものだ。
 だが、本当に?
 確認するようにアルマの顔を見れば、もちろん、とでも言うように頷かれた。
「う゛……、改めて歌うとちょっと緊張するわね……」
 へへっ、と照れたように笑って、ミヤコは軽く息を吸った。



「───“これが彼女の物語”……」
 余韻を残すように、息を吐く。
 人魚と王子様の唄。私の大好きな唄。
 決して結ばれることのなかった二人だけど、それでも私は王子様へのことを悲しいだけで終わらせない彼女のことが好きだった。
 もし、自分に好きな人が出来たら、彼女みたいに自分の想いを貫きたい。例え、それが決して叶うことのない想いでも───。
「ご静聴、ありがとうございました」
 ふふっ、と笑ってミヤコは優雅に礼を取った。
 それに対し、アルマは拍手をミヤコに贈る。
「改めて聴いてもいい唄だな。知っているか? その唄は実話を元に作られてるって、話だぞ」
「そうなの!?」
 実話!
 人魚の彼女の話が本当にあったことだったなんて!
「すごい!! どこの国のお話なの!?」
 ミヤコの目が嬉しそうにキラキラと輝く。
 もしかしたら、憧れの彼女の子孫にも会えるかもしれない、とまで考える。
「あー……、すまん。どこの国の話だったかな……。今度会うときには思い出しておくよ……」
「今度……」
 今度と言う言葉に、ミヤコは落胆した。
 今度、なんてものはミヤコにはない。一ヶ月後にはミヤコは隣国-バレル国-へ嫁いでしまう。アルマと会うのもきっとこれが 最後……。
 寂しい……。そう思っている自分に苦笑する。会ったばかりなのに、何を寂しいと思うのか。
「………」
「ミヤコ?」
 急に黙り込んだミヤコを覗き見るよ
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