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突然ですが、嫁ぎ先が決まりました。
3、本当、大好きよ!!
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り寂しい。
 言ってもこれが自分の王女としての務めであることは理解していたし、覚悟もしていたことだから、みんなには言えない。
「白夜」
 手綱を引き、駆けていた足を止める。
 マリーから与えられた時間は僅かだ。このままずっと駆けて行くのでも良かったのだが、足は自然とミヤコのお気に入りの場所へ向かっていた。
 外れにある小さな湖畔。
 遠乗りをしていて、偶然見つけたミヤコだけの秘密の場所。
 白夜から下りて、手綱と鞍を外す。白夜は賢い。この二つを外したところで逃げるような事はしないし、もしはぐれたとしても、ちゃんと城に、ミヤコの所に帰って来る。
「あなたも疲れたでしょう? 少し休憩しましょ」
 そう言って白夜の首を軽く叩けば応えるように鼻を鳴らし、ゆっくりと歩いて行く。
「はぁ…」
 思わず出た溜め息。
 マリーはああ言っていたけれど、やっぱり今のままじゃまずいと思う。
「ふぅ、」
 目を閉じて軽く深呼吸。そのまま上に引っ張られるイメージをして、姿勢を正す。目の前に相手がいると仮定して、頭の中で音楽を流す。
 ステップを踏む。
 先ずは左足、それから右足を少し下げて……。
 あぁ、もう。
 頭では分かっているのに。
 どうしても体が思うように動かない。
「あーもう!! 止め止め〜!!」
 せっかくの自由時間なんですもの。そんな鬱々とした空気、私らしくない!!
「〜〜ラララ……」
 気分を変えるように唄を口ずさむ。
 昔聴いた、遠い海で囲まれた島に伝わると言う唄。
 人魚と人の恋の唄。
 初めて聴いたときには、あまりの素敵さに柄にもなくうっとりと聴き入ってしまった。
 楽士に頼んで唄を教えて貰った程だ。
 唄は悲しい結末を迎えてしまうけれど、曲調はそれ程暗くはなく、寧ろ明るい。それが彼女の想いを物語っているように感じて。彼女は幸せだったのだろうと思えた。
「──"これが彼女の物語"……」
 余韻に浸るように、小さく長く息を吐いた。
「悪くない唄だな」
「っ誰!?」
 突然後ろから聞こえた声に驚いて振り返った。
 まさか、他に人がいるなんて思ってもいなくて、本当に驚いた。早鐘を打つ胸を押さえつつ、ミヤコは声のした方を見やる。
 見た先にはミヤコより少し上だと思える青年が、木の幹に背を預け、寄り掛かって立っていた。
 振り返ったミヤコと青年の目が合う。
 無言で見つめ合った二人の間に、心地良い風が吹いた。

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