主人公の資格 そのB
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に賽銭箱をのぞき込んだ紫は言葉を失った。
「・・・・・・え」
そこにいたのは探していた人物。だが、普段の姿からは想像も付かないほどやつれ、衰弱していた。
「霊夢ッ!!」
紫はスキマから降りて賽銭箱の中で泥のように眠る霊夢を抱え上げた。
「・・・・・・ゆ・・・か・・・り?」
声が殆ど掠れ目を開く力も残っていない。飢えによる衰弱ではない。少なくとも博麗神社には最低限の食料は残っていた。また、他人と争ったような形跡が神社にも霊夢にも見られない。どうして彼女がこんなところで死にかけているかが分からなかった。
「あなた・・・・・・何をしていたの・・・・・・?」
「・・・・・・『お金』・・・・・・」
「お、金・・・・・・??」
紫は心配そうに首を傾げる。
霊夢はただ一言そう呟くと「ごほっ、げほっ!」と大きく咳込んだ。すると彼女の口からあり得ない物が吐き出される。
大量の金属片。
「――――ま、まさか・・・・・・!」
と、紫は霊夢の腹に手を当ててスキマを作り出す。その中に手を突っ込み、手に掴んだ物を全て引っ張りだした。
じゃららららららッ!! じゃらん!
彼女が掴み取り出した物は大量の金属片。だが、いくつか形がそのまま残っているのがあった。それは紫もよく目にしたことのある物体。
「霊夢あなた・・・・・・、『お金』を食べたの!?」
「・・・・・・」
霊夢はわずかに首を縦に振った。
どうしてこんなことをしたのか、いや、今はそれを聞いても仕方がない。早急に霊夢を助けなければ死さえあり得た。
と、霊夢は紫の腕を掴んだ。
「・・・・・・ひ、と・・・・・・ざと・・・・・・に」
「『人里』? 人里に行きたいの? でも今のあなたじゃあ・・・・・・」
と、断ろうとしたとき。霊夢の手の力だけが跳ね上がり紫の腕を締め付ける。
(ちょっ、な、に!? この力ッ!? この死にかけのこの子のどこにそんな力が――――!?)
「――――いいから連れて行け」
霊夢の声には怒りが混じっているような気さえした。紫は直感的に霊夢を救うには彼女の言葉に従うのがいいと思い、スキマの中へ霊夢を落とした。そして次の瞬間には霊夢は人里に投げ出されていたのだ。
続けて紫も同じように人里に入ると――――。
「・・・・・・あれ?」
なんと、霊夢は普通に立ち上がっていたのだ。
「え・・・・・・っと、あれ? 大丈夫なの霊夢?」
「・・・・・・不思議とね。でも分かりかけてきたわ・・・・・・この『力』が」
霊夢はそう言うと紫に人里の管理を任せてほしい、と持ちかけた。紫は人里の賢者たちを集めて霊夢ととも
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