戦いの中で
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「俺に……剣を教えてくれ」
瞬間、空気が静まり返った。いくら自分の武器を見つけたからといって勢いで言うもんじゃなかったか……?と少しビクビクしながらセイバーへと視線を向ける。
「セイ……バー?」
俺の肩に置かれた彼女の手が離れた。一体何をするのかと疑問に思ったその瞬間だった。パァンと俺の頭に衝撃が走る。
「いっ……たっ!!」
俺は頭を押さえ、しゃがみ込む。何が起こったか説明するとセイバーがただただ無言で俺の頭を叩いたのだ。あまりリアクションが大袈裟だと思われるが実際のところ威力は半端ではない。本人は軽く叩いたつもりかもしれないが、それに鎧の重さをプラスしたら軽い凶器のようなものだ。
「お前は莫迦なのか?いや、莫迦だな」
セイバーは特に怒気を荒らげることもせず淡々と話す。彼女の言う通り確かに莫迦な事だとは思うけどこれは俺なりに考えた答えだった。
「怒ると思ったけど意外と冷静だな…」
「別に良いのだぞ?怒っても。一応これでもかなり抑えているほうだからな」
俺は必死に首を左右に振り、止めてくれと懇願する。もしそれをやられるとこっちとしても精神的にも肉体的にも保ちそうにない。
セイバーはふん、と鼻を鳴らし、剣を床に刺し、腕を組んだ。
「やっぱり……ダメか?」
おずおずと聞くと、兜の中から大きな溜め息の音が聞こえてきた。
「剣を教えることについてはオレとしては一向に構わない」
その答えに若干の希望を持ったが、セイバーはそこで、だが、と付け加えた。
「それを教えたら、お前は何をするつもりだ?」
彼女の問いで全てを察した。セイバーは俺が剣を学んだその先何をしようとしているのか何となく分かっているのだ。正直に言うべきか迷ったが、パートナーである彼女に嘘はもうつきたくない。
「セイバーと一緒に戦う」
瞬間、
「いだっ!?」
セイバーが問答無用に俺の頭をまた叩いた。
「呆れを通り越して滑稽だぞ」
じんじんと痛む頭を摩る。俺は何かおかしなことでも言っただろうか?まぁ、言ったかもしれないが……それでも人としては立派なことを言ったつもりだ。
「死ぬぞ、お前」
セイバーが試すように俺に言う。死ぬ、そんなことはどの戦いにおいても同じだ。俺は立ち上がりセイバーに自分の覚悟を言い放つ。
「そんなこと分からないさ。ただ、俺は自分一人だけ傍観してるのが嫌なんだよ!」
セイバーは何も言わず黙って聞いている。内心向こうからしたら俺のこと幻滅してるのかもしれない。だけど、後には引けない。さらに俺は言葉を続けた。
「俺は死なない。どんなに辛くても、苦しくても、足掻いて足掻いて足掻き続けてやる!それで、最後までお前と生き残ってやる!」
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