第七十三話
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出来ない。……要するに、チャンスだった。
「おおおっっっ!」
キリトの雄叫びを伴った苛烈な連撃が蜘蛛に加えられる。二刀流上位剣術、十六連撃の《スターバースト・ストリーム》――かつてグリームアイズに引導を渡した技が、再びガーディアンに叩き込まれていく。魔法を使える者は自らの攻撃よりキリトの強化を優先し、俺を含む戦士型のプレイヤーはキリトと同じく自らの技を持てる限り蜘蛛に与えた。
そして、《スターバースト・ストリーム》の十六連撃が全て蜘蛛にクリティカルヒットした時、蜘蛛が再動する。ギョロリとした目つきでキリトを睨みつけ、ヒクヒクとその口を弾丸を発射するべく動かしていく。
「ッ――――!」
「そこどいてキリトくん! みんなも!」
散弾銃のような糸が発射されるより早く、リーファの言葉を聞いたキリトと戦士型プレイヤーは即座に蜘蛛から離れていく。これでは糸の弾丸が当たるのがキリトからリーファに変わっただけだが、リーファは恐れず蜘蛛の前にその長剣を向けて立っていた。
――いや、リーファがその手に掲げている長剣は、今まで彼女が愛用した長剣ではない……?
「フェンリルっ……ストーム!」
リーファが持っていた長剣は、シルフの精鋭部隊が持っていた雷撃のエクストラアタックが付与された長剣。シルフの精鋭にのみ用意されたその長剣が、シルフでも五指に入る腕前のリーファに用意されていない筈もなく、この戦いの直前にサクヤから渡されていた――ここ一番の切り札として。
そしてリーファの叫びとともに雷が長剣から現出し、糸の散弾銃を放とうとしていた直前の蜘蛛に炸裂する。糸を放とうとしていた口から身体に入り込み、ジグザグの軌道を描いて蜘蛛の身体を暴れまわった挙げ句、貫通して天蓋の向こうへと消えていく。
そして、雷撃が身体を貫通した蜘蛛が力なく片足を天蓋から離し――天蓋の向こう側が姿を見せた。天蓋のさらに奥にあるゲート、そこがこのラストダンジョンのクリア条件。……だが、HPが0になった筈の蜘蛛はその姿を消さず、またもやジジジ……と音をたてていた。怪しげな気配を纏っていた目は、HPが0になったとともにその色をなくし、今はただ空虚な黒色のみが映し出されている。
「…………罠だろうがなんだろうが!」
そんな妙な姿にも動じずに、キリトがその二刀をかざして飛翔する。――その瞬間。
ダンジョン内にいた守護戦士たちが全て、ドロリと黒い泥のように溶けていく。その異様な光景に、天蓋を突破しようとしていたキリトもつい足が止まってしまう。プレイヤーたちが言葉を失っているなか、死骸となった蜘蛛からある文字が浮かび上がっていた。
『Raise Dead Skill』――死者再生スキル。
「キリト、早く行け!」
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